締め切りが迫る書展用の作品制作をやらなきゃならない所に、
夏休みの宿題の習字を教えて欲しいと頼まれ…
看板に記載された、神社に寄付してくれた住民たちの名前を書き直す依頼が来て…
さらには船に船名を書く仕事も舞い込んできて…
この仕事が続々と増えていく流れ、
「ハヤブサ消防団」でも描かれていた事を思い出して、クスッときておりました(笑)
先週はお休みでしたけど、やっぱり両作品でシンクロしているんですよねぇ。
まぁそれは置いといて…
今回は島(田舎)を舞台にした作品ならではの魅力が
ぎゅっと詰まった回になっていました。
まず良かったのは、住民たちとの交流や島の習わしに触れてみる事で
“気づき”を得る様子が多く描かれていた所です。
例えば、最初はボソッと呟くほど乗り気じゃなかったのが、
実際に石垣の石積みを手伝ってみたら「先生は中々飲み込みが早かね」と褒められて、
自分には案外きっちりとした作業が向いていると分かってからは、嬉しそうにそれを続けたり。
看板に記載された住民たちの名前を書き直すよう頼まれた時は、
規則正しい字を書くのが久しぶりだと気づいたり。
ペンキ・刷毛・船体といういつもとは違った条件を出されて断ろうとしていたものの、
刷毛で下慣らしをしてみたら「弘法筆を選ばず」が本当だったと知ったり。
なる(宮崎莉里沙)たちが船に手形をつけた事が起爆剤となって字を書き始めてみたら、
いつの間にか重圧が全くなくなっていたのを感じ取ったり。
何かを見聞きして、体験してみる事で
“自分の知らない自分”に出会っていく清舟(杉野遥亮)の様子が
じっくり積み重ねられていたのが印象的でした。
加えて今回は、住民たちから思いがけない言葉をかけられて、
ハッとしたり笑みを浮かべたりする表情も多々見受けられましたね。
中でも、一番良い表情しているなぁ…と思ったのが、
美和(豊嶋花)から「先生はよそ者なんかじゃなかよ」と言われたシーン。
一瞬、こんな自分でも島の一員になって良いのかな?と戸惑いを見せつつも、
徐々に笑顔になっていく所は、
新しい居場所が出来た喜びを実感しているのが伝わってくるようで
こちらも見ていて温かい気持ちになれました。
次に良かったのは、ベタながらも「わらしべ長者」のエピソードが盛り込まれた所です。
島の一員になれた清舟が、今度はお返しに…とお裾分けをしようと考える流れも自然でしたが、
このエピソードを取り入れた事で、
“島のコミュニティ”の全体像が掴めるようになったのです。
住民たちの日常は以前から描かれていましたが、
今回のようにほとんどの登場人物の住まいや、
日頃の暮らしが次々と描かれるケースはありませんでしたよね。
会話の内容も良い意味でごくありふれたものばかりで、
田舎に対して何となく抱えていた「噂が広まりやすい」「世間が狭い」イメージって、
きっとこういうやり取りから来ているのかも…というのが読み取れる話になっていました。
また本作は、島での学びを書道でアウトプットするシーンが山場となっている訳ですが、
今回は珍しく、字を書いている時の清舟の表情にフォーカスが当たっていて、
それがより”島での成長・吸収”を物語っていた気がします。
正直、今まで書いてきた字も確かに独創的で惹きつけられはしたんですが、
おお〜凄い!とは思っても、清舟と同じく心を弾ませるまでは行かなかったんですよね。
何と言うか、”過程”よりも”結果”を重視したような作りだったから。
素人目からしたら、迫力のある字を見ただけで
大体は「優れた作品」だと捉えてしまうだろうし、
杉野さんが本作のために書道を練習されたと聞いても
制作に全部関わられているとは限らないので(プロの手も加わる事はお察ししているので)、
そうなると、視聴者が求めているのは、その時の杉野さんの表情にはなるでしょう。
今回はそこが活かされていたので、いつもよりも見応えを感じましたし。
清舟が学生たちに習字を教える際に「二度書きするな」「(ここの線は)一度しっかり止める」
「もっと筆を立てて」と注意していた事を自ら破っていた所も、
まさしく「殻を破る」を具現化していてグッときました。
子供たちの出番も多くて、親の実家に遊びに来て伸び伸びと暮らす
夏休みらしい仕上がりにもなっていたと思います。
それだけに、次回は東京での話が増えそうで、今から寂しいですね…。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
コメント