いや〜凄い…今期の日曜劇場がいかに力が入っているかは、冒頭の映像を見ても明らかです。
メインスタッフのクレジット表示の凝り具合からして、もう違います(笑)
この作品で絶対に外したくないという、TBSおよび日曜劇場の本気度の高さが伝わってきます。
元々期待していた作品なだけに、いやいや、これ以上過度な期待はしないようにしなきゃと
少し身構えて見てみましたが…
内容も冒頭の壮大な演出に負けず劣らずで、良質さを感じさせる仕上がりになっていました。
時代を経て廃墟となり、すっかり寂れ果てた島に暖色の光が当たった途端、
“あの頃”を思い出すかのようにゆっくり街が色づき出し、
徐々に賑やかな声が聞こえてくる演出には自然と涙が込み上げてしまいました。
基本的には、1955年の高度経済成長期が始まったばかりの端島を舞台にした過去パートと、
2018年の東京・歌舞伎町を舞台にした現代パートを
行ったり来たりしながらの構成で行くようです。
端島は石炭産業が盛ん。地下600mの気温は35度・湿度は80%で、
それって令和の夏の気温と変わらなくて、
暑くても私たちの場合は、オフィスや工場勤務だったり、車移動が多い仕事だったりしたら
冷房をガンガン効かせて快適に働けるんですが、
暑い中で長い時間働く人々にとってはかなりの劣悪環境でしょう。
なのに、どの人も表情は活気に満ちて、
日本が発達していくのに手応えを感じているのか、やりがいを見出しているよう。
“生”が伝わってくるんですね。
一方で現代の東京は、職業も多種多様になってきて、豊かな時代であるはずなのに
どこか空虚で閉塞的で、ホストクラブで働く玲央(神木隆之介)からも覇気を感じられません。
2つの時代を照らし合わせながら、進歩したのに、なぜ…?という違いと矛盾が描かれました。
しかし、時代を経ても変わらない部分もあり…。
いざ深掘りしてみれば、お腹を壊して我慢出来ず、地下でスッキリしようとしたら
置いてけぼりになって痛い目に遭った人もいれば、
長年働いて、炭で体がボロボロになっている人もいるのです。
で、歌舞伎町は歌舞伎町で、通常は原価率が30%なのに対して7%と物凄く低いですし、
売掛金問題が発生したらかなりのリスクを伴う事になります。
果たして、労働と金額が見合っているのか?という搾取もそうですが。
人種差別もハラスメントも忖度も、現代にも共通しているものも描かれました。
「たかが端島」と見下され、店をクビにされ島を出て行こうとした際、
鉄平(神木隆之介・一人二役)の説得を受けたリナ(池田エライザ)。
大衆の前で端島音頭を歌い始めたら、
みんなが歌に合わせて手拍子、足踏み、掛け声をする…ここもグッときました。
舐められてたまるか!この島で生きた証を歴史に残してやる!という意地と底力を感じさせる、
エネルギーがじわじわみなぎってくるような曲調の劇伴も相まって、鳥肌もんのシーンでした。
リナがこの島に来た理由とか、鉄平の端島への強過ぎる想いとか、いづみの若い頃は誰…?とか、
まだまだ掴めそうで掴めない所はありますが、
昭和と令和、2つの時代を生きる役を演じ分ける神木隆之介を通して、
「生きる」とはどういう事か?を問いかける作品になりそうな予感のする初回でした。
朝ドラ主演のご経験も大きいんでしょうね。
神木隆之介さんはすっかり箔のついた、立派な役者さんになりました。
日曜劇場という、歴史ある看板枠の主演にふさわしい存在感を放っています。
特に後半の、リナの差別を目の当たりにした後の、
百合子(土屋太鳳)と賢将(清水尋也)の3人で列車に乗った際に
感極まりながら想いを吐露するシーンは凄味があって、
心の奥底にある情熱やふつふつとした感情を真っ直ぐ伝える演技は
神木さんの真骨頂という感じで、思わず見入ってしまいました…。
期待以上の出来で、安心しました。
「半沢直樹」「下町ロケット」が大ヒットして、勧善懲悪のカラーが強まる前の、
2010年代半ばまでを彷彿とさせる作品でもありましたね。
あと、リナが宿の窓を開けるシーンは…ジオラマと合成させているんでしょうか?
世界遺産であるはずの端島が実際に使われているの?と思えるくらいの臨場感なので、
どうやってこの画を作っているんだろうと考えるのもまた楽しいです。
それにしても、TBSはどれだけ予算があるのか…。
あのお金のかかりようですもん。前作の初回が始まった辺りで本作の情報が解禁されたのに、
初回放送日が10月に入っても中々発表されない訳ですよ(笑)
でも、来週は選挙でお休み。
先週から放送されていれば…う〜ん、タイミングが悪かったですね。
しかし、初回のあのインパクトなら、次も絶対に見ようと決めた視聴者も多いと思います。
Source: りんころのひとりごと。
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