忘恋剤 感想|失恋も人生の通過点…なのね。

ドラマ

 

 

「to forget the memories of your love」と書かれた箱の中に入っている

青いポッキーを1本食べるごとに、半年間の記憶を忘れる。

副作用として、削除対象となる記憶を鮮明に思い出す症状が現れる。

たった1本だけ入っている赤いポッキーを食べれば、記憶を全部取り戻せる。

…と、そんな設定らしいです。

 

設定が設定なので結末も読みやすいですし、

30分の単発ドラマである都合上か、一気に食べ過ぎると禁断症状が…とか、

赤いポッキーを食べた代わりに違う記憶を忘れてしまう…とか、

そういった条件を使っての捻った展開も用意されていません。

しかし、物事をストレートに描くのに徹したからこそ、響くものがあった気がします。

台詞からして、恐らく2人とも20代後半なんだろうと窺えて、

まだ中堅どころのポジションでもなく、ちょっとだけ青臭さも残っている…

その年代ならではの味わいを感じさせる内容でした。

 

葵(吉川愛)は常に慎重派で、贅沢は一気に満喫したいタイプだけれども、

景(倉悠貴)は楽観思考で、贅沢は小まめに味わいたいタイプで

考え方や価値観が真反対の2人。

唯一合致していたと言えば、慣れない土地である大阪に

居心地の悪さを感じていた”出会い”の時だけ。

恋愛の記憶(=回想)を辿るごとに、2人がどんな日々を送ってきたのかを

掘り下げていくかのような描写の仕方が、実に繊細なんですね。

 

そして終盤は…服用するにあたって、全て思い出した上で綺麗さっぱり忘れるか?

それとも、消した記憶を取り戻し、バネに変えて前に進むのか?という二択を迫られる事に。

先ほどは捻った展開はないとは書きましたが、

その選択によって2人の人間性を浮き上がらせるという

小さな仕掛けが施されている所は面白かったです。

で…最終的な結論は「人を再び傷つけないためにも、辛くて苦い記憶と共に生きていく」

別れてからだと、どうしても嫌な記憶が先行してしまいがちなんでしょうけど、

5年間も付き合っていたのなら、あの家での暮らしのように

同時に幸せな思い出もいっぱいあったはずで。

その事実すらも否定しない考えに至ったのにはホッとしました。

忘恋剤をきっかけに、全てひっくるめて”愛しい時間”だったのだと気づけた2人からは、

ほんのわずかながら、明るい未来に向かっていくんだろうな…という

兆しを感じさせられもしましたね。

 

根本のテーマは違うものの、個人的には「ブラッシュアップライフ」が放送されて

間もない内の本作で、良いタイミングだったとも思っております。

葵も景も完全に別れた訳だけれども、

過去ともしっかり向き合いつつ、こうして人生経験値を積む事で、

素敵な出会いが訪れて、少しでも悔いのない日々を送れるのかもしれない…

そんな爽やかな余韻の残る作品でした。

 

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Source: りんころのひとりごと。

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