以前から好感度を上げてきた村井(岡部たかし)ですが…
今回はもはや、彼が主人公と言ってもおかしくない回でしたね。
存在感が強過ぎて、ラストシーンも含めて2人の印象があまり残っておりません(笑)
というのも、理由はあって…
最終回前になると、最終回で劇的に盛り上げるために
あえて一旦「嵐の前の静けさ」状態にした結果、内容そのものの見応えよりも、
次へと繋げるための引き延ばし感が強まってしまうのがあるあるだと思うんですが、
本作の今回の内容にもそれを感じさせてしまったんですよね。
いや、言葉通り「瞬殺で一撃しなければ反撃される」現実を描きたかったのは分かるし、
拓朗(眞栄田敦郷)に関しては、村井や佐伯(マキタスポーツ)を通して
動きを見せてはいたんですけれども…
何と言うか、ただ事件を追っているだけ…みたいな?
メインではないにしても、冤罪事件を取り扱っている以上、
最終章なら、松本死刑囚に関する新たな報道が出始めたり、過去の事件でも進展があったり、
弁護士・木村(六角精児)を登場させたりしながら
「いよいよ真相に迫る」緊迫した雰囲気を滲ませても良かったはずなのに、
今回はそのどれにも触れる事なく終わったが故に、
ちょっとした停滞感を覚えてしまったんだと思います。
恵那(長澤まさみ)に至っては、
終盤まで影を潜めるような立ち位置になっていたのが気になりましたしね。
あと…劇中で「YouTuber」というワードが出てきたのをきっかけに、もう1つ疑問に思った事も。
本作の時間軸って2018年から2019年になっていて、
3年前とは言え、一応現代の物語ではあるんですよね。
そこで、今更ではあるんですが…その頃なら既にネットニュースや動画配信サイトも
“情報”を伝える場としては主流になっている訳で(個人的印象)、
それなのに、なぜ彼らはテレビや雑誌といった昔ながらのメディアで
冤罪事件を取り上げてもらう事にこだわるんだろう?とも思えてしまったのです。
(「フライデーボンボン」を通して反響が集まった描写はあったものの)
SNSも栄えているのだから、ネットも利用すれば
もっと影響力も大きかったかもしれないのに…と。
まぁでも、これは恐らく、脚本家の渡辺あやさんのインタビュー↓
〈朝日新聞〉「エルピス」脚本家・渡辺あやさん 6年越しの脚本に込めた危機感と覚悟、東京では書けないこと
によると、プロデューサーの佐野亜裕美さんと企画を考え始めて一度白紙になり、
本作の実現に至るまで6年かかったとの事で、
もしかしたら元々の時間軸も2010年代初頭〜前半に設定されていたって
可能性もあるのかもしれませんけどね。
そこだけ、若干惜しかったかも…と感じて、書いてみた次第です。
ただ、消されたかもしれない亨(迫田孝也)の死や、
冒頭でも触れたように、再び「飲み込めない」状態に陥ってしまった
恵那の苦しみややるせなさがじっくり描かれたお陰か、
ラストの村井の暴れっぷりには、ちょっと気持ち良いものがありました。
村井については、後で冷静に考えてみれば、この件でマスコミ業界から追放されないかと
ソワソワさせられる部分もあるんですが、恵那目線でつい見てしまって。
スタジオを映すためのオレンジ色の照明も良い仕事をしていて、
彼女にとって彼の存在が”希望”となるのだろう…と思わせるにはぴったりでした。
最終回、どうまとめるんでしょうねぇ。
今までの作風を踏まえれば、巨悪を完全には倒せず、
冤罪事件は解決はしたもののちょっとした苦味が残る…
そんな終わり方になると予想しておりますけども。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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