今回は「想が声を出さない理由」と「想と奈々の関係性」にじっくり向き合う、
1つのターニングポイントを迎えるお話になっていました。
そして、核心へと迫る中、紬(川口春奈)は2人を取り持つ存在として描かれました。
紬はどこまでも真っ直ぐな人でしたねぇ…。
奈々(夏帆)に事前に用意してきた手話を伝えるシーンは、
世間の評判だと「身勝手」と思う方が多くいたらしいんですが、
私は特に嫌な気分にはなりませんでしたね。
奈々は想をずっと好きでいたけれども、想からしたら”彼女”ではないし、付き合ってもいない。
それは、「佐倉くん」と呼んでいる辺り、まだ正式な関係にはなれていない紬も同じで。
だから、この曖昧な状態が続いている以上は、どこかでケジメをつける必要があった…
そう思っています。
手話は下手くそと言われながらも…いや、下手だったからこそ?
紬が時折感情を顔に出しながら伝える姿には嘘がなくて、
ああ、本当に感謝しているんだなぁ…っていうのが奈々目線で伝わってきて
ちょっと涙してしまいましたし。
想ではなく紬が行動に出ようとしたのも、
想が「聴者とろう者と中途失聴者は違う」と言われたのを知った所から始まって、
奈々なら全て分かってくれるであろう想の早い手話が、自分では分からない時がある→
8年間何もしてあげられなかった自分の代わりに、長年受け止めてくれていた奈々に
想本人が伝えづらい感謝の気持ちを伝えたくなったし、誤解を解きたくなった…と
段階を踏むようにして動機が描かれていたので、
今回のは”らしい”判断だったし、ああなるのも自然だった気がします。
あとは…演者によっては、偉そう…ってなりそうな役柄を、
川口春奈さんが演じられたというのが大きかったですかね。
以前、本作の裏側に迫る記事で、川口春奈さんを起用した理由として、確か
「女性の共感を得やすい」「女性のリアルな部分を演じても嫌われにくいだろう」って
書かれていたのを読んでいて。
川口さんの純粋さと等身大さが最も活きたシーンにもなっていたと思います。
で、想の気持ちが奈々に届くシーンの他に、
個人的に嬉し泣き(一部は切な泣き?)してしまったのは、
好きな人の心の中に”大切な人との時間”が刻まれているのが、想や紬から感じられた事。
まず想に関しては…奈々が、自分だけが憧れていた夢を想も同じように見てくれていて、
さらには、自分では想像出来なかった声を、想の夢の中では出していたと知れて
何よりもの救いになった事でしょう。
前回では「絶対叶う事のない夢」として描かれていた分、
たとえ夢ではあっても想いは通じ合っていたと分かった途端、
心揺さぶられるものがありました。
そして、今度は紬について。
終盤で紬が話していた「声、好きだったけど。それは本当だけど。」…
この後付けしていくような言い回しだったせいか、
湊斗(鈴鹿央士)の声で再生されたんですよね。
これが脚本家が意図して描いた台詞なのかどうかは分かりませんが、
このたった一言を聞いただけで、別れてはしまったものの、言い回しが移ってしまうほど
彼女の中では湊斗の存在が大きな支柱になっていたし、
1人心をすり減らす生活を送っていた彼女を救い出してくれたのが
彼であるという事実はこれからも揺らぐ事はないんだろうな…なんて、
馴れ初めや付き合っていた頃の記憶がぶわっと蘇ってきて。
ちょっぴり切なくもあり、8年間という長い思い出を
今でも無意識に、心に大切にしまってくれている事に、
嬉しさを噛み締めたくもなるシーンでした。
奈々が憧れていた夢、図書館での可愛らしいエピソード、
そして、衝撃だった「プレゼントを使い回された気持ち」…
奈々と想の間に入ったヒビを治していく過程や、
奈々の気持ちの変化、前向きになっていく様を、
前回の要素を取り入れながら、前回と今回で対になるようにして
表現していった手法も素晴らしかったです。
特に、図書館で子供にシーッってされたエピソードが刺さりましたね。
手話での会話が盛り上がって、思わず笑いが吹き出てしまったのが
子供にとっては「喋っている」と捉えられた事が、
奈々の「声で喋っている」夢を叶えられたようにも思えて、こちらも微笑んでしまいました。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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