「サザン?」
「鼻から?」
「『栞のテーマ』。名曲ですよね。」
「なんで鼻から?」
からの…「これがホントの鼻歌だ。」
あ〜…耳からブルータスのくだり、本当に可笑しかったなぁ。
少年・つとむ(戸井田竜空)が涙を流しているどアップのカットは、
鼻の奥にワイヤレスイヤホンが詰まって痛い事を表しているのはもちろんなんですけど、
「栞のテーマ」があまりにも良い曲だから思わず涙が流れてしまった…とも
捉えられてしまう所が面白ポイントでしたし(笑)
耳をすますと、ちょうど流れていた歌詞が「♪ね どうしてなのなぜに…」の部分で、
その後に「♪泣けるの」がかかると思うとね…そこもまたジワジワ笑えてくるんですよ。
クドカン作品において一番の魅力である(と個人的には感じている)
言葉とニュアンス遊びの上手さが、このシーンで存分に発揮されていたんじゃないでしょうか。
ラストの「売り掛け」「ふりかけ」も、なるほど!と唸らされましたからね。
また、通常放送になってエピソードが絞られてきたからなのか、
ヨウコ(小池栄子)が医者として働く根底に「平等に助ける」があるのだと
前回で明かされたからなのか、今回でかなり見やすくなった気がします。
負傷した兵士、病気の子供、自殺、事故など、運ばれてくる時は違う人間で違う命なのに、
命が消える時はみんな一緒なのが悲しいと嘆く姿。
自殺の名所には徒歩なら3分で着けるのに、
救急車だと工事中や繁華街故の混雑が原因で15分もかかってしまう医療課題。
心は弱くても身体は強く、そう簡単に死なない作りになっている事。
今回はヨウコなりの思想が覗き見える機会が多く、
話を聞いていて新たな気づきや共感が何度もありましたし、
この会話が後々、本作の輪郭に繋がってくるのかも?と思えたりもしました。
雑でも命はちゃんと助けるけど、顔を負傷しても元通りになるかどうかは保障出来ない…
(↑身体と違って、顔は案外頑丈ではないという皮肉の利かせ方も良い(笑))
彼女の人となりが掴めるようになったのは、大分大きいです。
ただ、ここまで見やすくなったのなら…というのもあって、
まだまだ面白くなりそうなんだけどなぁとも感じていまして。
前回よりは変な静けさは少なくなりましたけど、
脚本と演出同士の噛み合ってなさはどことなく残っているんですよね。
いや…演出がまだ大人しい一方で、
クドカン作品ならではの小ネタやギャグが今回で結構暴走しちゃって、
物語を食ってしまうほどの勢いになっていると言った方が良いんでしょうか。
ヨウコに関しては、上記で書いた通り少なくとも出番はある方でしたが、
もう1人主演である高峰(仲野太賀)が
キャラは濃いのに(濃く描かれているのに)物語の中心にいないように感じるというか、
パンチの強い小ネタやギャグに引っ張られて、「病院内でわちゃわちゃしている医者の1人」
に映ってしまうのは気になりました。
ここの匙加減はやっぱり…両者のトライアンドエラーを経ての馴染み合いが
重要になってくるのかもしれませんね。
とは言え、前回と同じ演出家だったので、希望はあると思っています。
もっと面白くなっていくと良いなぁ。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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