いや〜…第5話という折り返し地点で、思い切った構成になっていましたね。
今まで”勝ち組”のフリをしていた自分を断ち切るかのように、
ヒゲ面ボサボサ頭で別人になった拓朗(眞栄田郷敦)の物語から始まって。
甘くて心地の良い世界にどっぷり浸かりきった恵那(長澤まさみ)が
出口を見つけるまでの変化にも、正一(鈴木亮平)に潜む闇にも触れて。
最終的には、お互い心が離れていた恵那と拓朗の想いが
再び合致しようとしているまでを描いた今回。
起承転結の”転”から始まり”転”で終わる展開続きで、大変面白かったです。
で…前回の感想で「恵那も拓朗も本質的には同じ人間である」と書いた通り、
本作の登場人物を車で例えるなら、
2人の関係性は”アクセル”みたいなものだなぁと、今回の内容を見て思えたんですよね。
というのも、2人とも、向かう先や大元は違えど、
「過去の出来事を突きつけられたのを機に『飲み込めない』体になる→食事を拒む→
冤罪事件を通して強い正義感・義務感が生まれる→暴走する→色恋に溺れる」
で同じ人生を歩んでいるように見えたから。
そんな2人とは反対に、正一(鈴木亮平)、拓朗の母・陸子(筒井真理子)、
さくら(三浦透子)など、恵那と拓朗以外のほとんどの人間が、
一歩踏み出す行為を阻み、冤罪事件の捜査中止を促す”ブレーキ”として描かれています。
(さくらは協力した側ですが…2人の暴走が彼女を精神的に追い詰めたともとれるので、
自分がやった事の責任を負わせる意味で、あえてそちら側に。)
村井(岡部たかし)だけがどちらにも属さない、
2人がまたアクセルを勢い良く踏めるようにエネルギーを注入する
“ガソリン”的存在とでも言いましょうか。
ブレーキを踏まれたら、もちろんアクセルでは飛ばせません。
正一と寄りを戻してしまった恵那は、まさしくその状態になっていた訳ですが、
拓朗の場合は、彼女と同じくボンボンガールの意中の相手と
ラブホテルで関係を持ちそうになっていた所を、
恵那の電話のお陰で何とか持ち堪える事が出来ました。
拓朗が1人で熱心に事件を追った痕跡がなければ、
恵那があの世界で目を覚ます事はなかったかもしれないし。
拓朗が正一に情報を持ち込まないまま電話に出て、恵那のいるファミレスへ行ったから、
久しぶりにちゃんとしたご飯を食べて再び”生”を見出せた。
2人が一緒にいて、同じ方向を向いて初めてアクセルが踏めるのだという、
そんな関係性が伝わる着地点になっていたのが印象的でした。
ペットボトルの水、ウイダー、カレー、オシャレな店での映える料理と、
恵那と拓朗のその場その場での状況とシンクロさせているような食べ物のチョイスも
中々粋な演出ではあるんですが、
今回で拓朗が「食べたい!」って思ったのが雑炊なのも、上手かったなぁと。
熱が出て食欲がない時にはお馴染みの、優しい食べ物。
まずはそれを口に運んでみて、徐々に回復していく様子が、
目力がトレードマークだった以前の自分を取り戻しつつある
彼自身の変化にも思えて、ちょっと安心させられもしました。
2人の関係性を描きながらも、
「パワーバランス」には疎いと言いつつ、結局自分もそれを利用して
人と関わろうとしてしまうという、現代社会に蔓延る”闇”も皮肉として混ぜるのにはゾワッと。
事件を追うのにマスコミ業界の実態にも触れるの?それって散漫しないの?なんて
当初は不安に思っていましたが、もうそれも杞憂に終わりそうですね。
人物像、人間模様に深みを持たせて、”意味のあるもの”にしているんだから凄いです。
正一のバックに副総理がついていると知った所で、真相にどう立ち向かっていくのか…
期待値が上がる一方です。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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