思ったよりも”普通”でしたね。
あ…これ、褒めてます(笑)いろんな意味で。
胸キュン演出や、漫画なら許されそうな気を衒った展開を盛り込む事なく、
恋愛ドラマでは欠かせない「2人の出会い」をストレートに描いていった印象を受けました。
確かに、若者世代でそんなに訛ってるものか?と思えたり、
「半分、青い。」での、幼馴染と相手とで結婚して建てた新居に
はがきに記載された住所を元に尋ねるトラウマシーンを想起させたりで
引っかかる部分はあったのですが(苦笑)
でも…見ていて嫌悪感の方が勝る事はなかったのは、
初回の段階では、あくまでも音(永瀬廉)は彼女を「何となく放っておけない存在」として、
空豆は彼を「自分に優しくしてくれる赤の他人」としてしか見ていないという、
まだお互い「好きなのかも…」以前の、恋愛感情の混ざっていない関係性に
留まらせたのが大きいのかもしれません。
中でも、個人的に上手いなって思ったのは、時間を飛ばしての見せ方。
例えば…2022年の春に、音のつけていたイヤホンが空豆とぶつかって落ちてしまう形で、
横断歩道で”運命の出会い”をしたのですが、
当然「そこでアクシデントが起きた」だけなので、その後は特に進展なし。
で…その時間軸のまま”偶然”何度も遭遇する流れになりがちなものを、
一旦、2023年の冬に時間を飛ばしているって所がミソなんですよね。
そうしたお陰で、「あれ…?」と気づく流れにも無理がないですし、
何より、音は覚えていて、空豆の方は完全に忘れている…という“記憶の差”の描写も自然。
(音にとっては、年齢と癖の強い方言でギャップがあるのと、
「同じ曲聞いちょった」でふふっと笑う姿が印象に残りやすいのも頷けますしね。)
あとは…”普通”とは書きましたけど、2人が実は小学校の同級生で、
どちらかは初恋の相手だと思っていて、告白しそびれたまま数年ぶりに再会した…といった、
予定調和を覚えるベタな設定が入っていなかったのも良かったです。
まぁ、「偶然が多過ぎ!」と思われる視聴者もいるかもしれませんし、
その気持ちも分かりますが、赤の他人同士の恋愛を描く以上は
多少のフィクション要素がないと物語は進展しない訳で。
そういう意味では、ある程度許容範囲内に収まっていたのかな?という気がします。
また、視聴者からしたら、ちょっと気の毒に感じてしまいそうな
「空豆」という名前についても、学生時代の回想を通してしっかり言及してくれましたし、
2人がひとつ屋根の下に住むきっかけも、スムーズに描かれていました。
あの流れだったら…音の嘘に気づいてから急いで戻ってきて、
「嘘ついたお詫びにお金のないおいを養え!!」的な
無茶振り展開に持ってきそうな予感もしていたので(笑)
2人の馴れ初めを全く知らない響子(夏木マリ)が…なのには、むしろ安心してしまったのです。
恋愛ドラマの初回は「なぜ惹かれたのか?」という細やかな心情変化を、
納得出来るように描けるかどうかを重要視している私としては、
納得出来たどころか、2人にいつ”好き”という感情が芽生えるのか、
どんな風に進展して行くのかを
見守ってみたい気持ちにさせる作りになっていたのではないかと思います。
ホテルの店員もそうですが、合間合間のリズミカルな会話劇も面白く、
肩の力を抜いて見られる作品としても悪くありませんでした。
広瀬すずさんも近年は変わった役が続きますが、
噴水で顔を洗い、タオルで拭いて髪がボサボサになったままのカットが、
まるで期待の新人が現れたかのような透明感があって、魅力的な人物に映りました…。
「半分、青い。」「ウチの娘は、彼氏が出来ない!!」を経て、
どうも主人公に脚本家のしたり顔が透けて見えてしまって(すみません…)
苦手意識を持っていたので、感想は初回のみにするつもりでいたんですが。
もしかしたら行けそう…?って事で、しばらく書き続けようかと思ってます。
Source: りんころのひとりごと。
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