結論から言ってしまうと、私は好きです。
ただ、好き嫌いが分かれる作品なんだろうなぁ…とも思います。
と言うのも、狙っているであろうターゲット層が20〜30代の女性…
もっと細分化するなら、20代後半からかな?
それくらい限定づけられている(ように感じる)作風なんですよね。
ターゲット層の中には、当時叶わなかったキラキラした恋愛に
憧れを抱く経験をした人もいれば、ケータイ小説を読んでいた人も多いかもしれない。
その道を通ってきた視聴者なら、脚本家・生方美久さんの紡ぐ小説寄りの独特な台詞回しも
叙情的なストーリー展開もノスタルジックに感じられるんでしょうけど、
一方で、こんなに密度を上げなくても…展開がノロくて退屈…と
受け取る視聴者もいるんだろうなぁと。
見方によって大きく評価が変わりそうな初回でありました。
個人的には、人気(ひとけ)のない小さな映画館で、夜の時間帯に
スクリーンでひっそり泣きながら見たい内容でしたね。
CMの入りが頻繁に行われていたのもあって、
ドラマサイズじゃ、この良さが十分に伝わらなさそうで勿体ない…と思えてしまうほどにはね。
高校生の頃の連絡手段は携帯電話だったのが、
大人になるとLINE電話が主流になって、LINEでのやり取りがほとんど。
音楽を聴くのはiPodに有線イヤホンだったのが、
今では無線で、片方のイヤホンを落とす事もしばしば。
今も昔もCDショップはあるけれど、CDが売れなくなってしまった時代に。
緑に囲まれたごくありふれた校舎の代わりに、
欲しいものは何でも手に入りそうな充実した街・渋谷が主な生活圏になっている。
想(目黒蓮)が何も知らない紬(川口春奈)の前であえて手話を使ったのもそうですが、
モチーフや場所を”過去と現在”で線引きして、意図的に映す事で、
「『大好きな音に包まれていた』あの頃はもう戻ってこない」
「時代の変遷と共に、2人の住む世界も変わってしまった」
切なさやもの悲しさを物語らせている辺り、
視聴者を引き込む”世界観づくり”は結構緻密に作られていて好印象。
脚本、演出、演者、劇伴…それぞれ、この先も良いクオリティを保てそうな予感。
しかし、それ以上に、本作が秀作になるか残念に終わるかどうかは、
意外と、手話が使える聴者・正輝(風間俊介)の存在が
鍵を握っているんじゃないかという気がしています。
若い役者さんが多い中で空気を引き締める立ち位置になっていたし、
演技からして、シリアスな方向へと寄せられていましたからね。
…まぁでも、初回を見た感じでは、障がい者は健気な性格で、
彼らを支えるために手話を使っている聴者は良い人だという、
どちらも思いやっている風の悪気のない考えを”偏見”だと
静かに切っていた描写が施されていたので、そこの心配もないのかもしれません。
先ほど名前を挙げた生方美久さんは、連続ドラマの脚本を初執筆。
プライム帯の割には、かなり作家性が尊重されていて、
脚本家にとって、ある程度自由に書ける環境になっているのも伝わってきます。
「木曜劇場」枠は波はあるものの、
時々異端な作品を生み出すから好きだし、応援したくなるんですよねぇ…。
ここ最近の作品を羅列するなら、「刑事ゆがみ」「隣の家族は青く見える」
「モンテ・クリスト伯」「アライブ」かな?(どれも名作入りにしているくらいには好き)
実はたま〜に「『刑事ゆがみ』の来年同時期の作品はこれかぁ…」「3年後はこれかぁ…」と
名作を基準に照らし合わせる事があるんですけど、
1つの節目となる5年後の作品が本作なのは、純粋に嬉しいです。
良質な作品だと良いなぁ…。いや、そうであって欲しいですね。
「言葉はまるで雪の結晶」の歌詞も衝撃的でした。
早く配信で聴きたいです…!
Source: りんころのひとりごと。
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