「歌舞伎町ウイルス」かぁ…中々ニクいネーミングですね。
キャバクラや風俗店が立ち並んで、トー横にホームレスにパパ活に外国人に…と
雑多な人間が集って、実際に犯罪も多いからこそ
物騒で近づきたくないという偏見の目で見られがちな街ですもんね。
最初の感染者がたまたまそこでホストをやっていたのを良い事に、
誰かが上記の通称をつけ始め、拡散されていく。
その患者はアメリカから帰ってきた後はそのまま隔離病棟にいるのに。
「自分は関係ないから」「自分は”そっち側”の人間じゃないから」と蔑視しているから
そんな名前がつけられるし、広まっていくんですよね。
皮肉にも、歌舞伎町が舞台である事が活きたネーミングと展開だな…と思ってしまいました。
内容自体は、フィクションとノンフィクションの境界線があやふやな作りで、
まるで追体験をしている気分にもなりました。
あまりにもリアルなもんですから、思い出して苦しいだけなのになんでこの話を…と
嘆く視聴者がいても決しておかしくはないし、否定するつもりもないんですけど、
宮藤官九郎さんが描きたいのはきっと、
「コロナ禍で『もう二度とあんな経験したくない』と学んだはずなのに、
歴史は繰り返されていく」なんだろうと考えています。
聖まごころ病院の面々を見てみても、マスクを直用したがらない人もいれば、
食事中というマスクを外さざるを得ない状況にもかかわらず
パーテーションを頼りに大声で喋る人もいるし、
聞き取りづらいのか、そのパーテーションをずらす人もいる。
「コロナで”良かった”」と言われるほど強力な感染力を持つウイルスが流行っているのに…です。
時間が経てば、人々の多くは経験を学びに変えず、”昔の事”として忘れ去ってしまう。
慣れって恐ろしいなと、ヒヤヒヤしながら見ておりました。
私も今年の2月にコロナにかかったので…改めて引き締まる想いでした。
「人間の言う事は聞かないのに、ウイルスの言う事は聞くのかよ!」と怒りを露わにする
南(橋本愛)の発言もグサッと刺さりましたね。
あれだけ尽くして働いていた日々が無駄だったと言われているかのようで、
一気に虚しさを覚えてしまう。彼女の気持ちには共感出来ます。
Not Aloneだけでなく、警察官、ボランティア、介護士などなど…
歌舞伎町で働く人は同じ感情を抱えているのかもしれません。
けれども、病気になったら、命の危機に晒されていると感じたら
人間は皆平等になるのもまた事実であって。
南にとってはやるせないけれども…果たして、歌舞伎町を離れてしまうんでしょうか。
内容が内容だけに、さすがにいつもよりもシリアスな雰囲気にはなっていましたが、
「ありがとう、変態。良い患者です!」とか「そんなのビズリーチじゃん!」とか、
クスッと笑える台詞も健在な所は、やっぱりクドカン作品らしいです。
特にビズリーチに関しては、芸人さんのツッコミくらい切れ味が鋭かったですね(笑)
“抜け”の部分が散りばめられているので、話も重苦しくなり過ぎずに見られます。
宮藤官九郎さんも、コロナ禍初期に感染されていたご経験者です。
そんな方だからこそ、視聴者に言いたい・伝えたい言葉はたくさんあると思います。
最終回でどのような答えが出されるのか…見守っていきたいです。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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