「最愛」のスタッフが手がけている作品なのもあって、随所に”らしさ”が見える内容に。
絶賛のコメントが多いみたいですが、
個人的には「面白かった!」「掴みは完璧!」とまでは言い切れず、
可もなく不可もなくといった感じでした。
やっぱり…事前に本作が「ドリームヒューマンエンターテインメント」だと分かっていても、
野球部が題材となると、どうしても熱いスポ根描写や
青春ならではの爽やかなイメージが先行しちゃうんでしょうねぇ。
そこにちょくちょく不穏さを漂わせるサスペンス要素を入れてくるので、
正直、どう見たら良いのかの戸惑いの気持ちが大きかったですし。
しっとり、スムーズに展開されていくストーリーもまた、
どことなく不思議な感覚で見終えた要因になったのではないかと思います。
ただ、唯一分かるのは、野球部の立て直しがベースにはなっていても、
“大人のリブート物語”をもう1つの軸として設けているんだろうな…と。
例えば、南雲(鈴木亮平)の場合、監督の指示で汚い手段を使いながら
試合に挑んだのがトラウマで、野球部に対して今でも深い傷を抱え続けています。
一方、山住(黒木華)は、「女子は野球部に入れませんでした」
「女子野球部があったら絶対に入ったのになぁ」と、
自身が女性であるために野球を諦めてしまった事に強い未練があって、
それが現在でのガツガツとした姿勢に繋がっているんでしょう。
ちょっと興味を引くのは、2人とも、部活を取り巻く社会問題が絡んでいる所なんですよね。
この他にも社会問題はいろいろ描かれていて、
息子中心に動くモンスターペアレントの存在や、田舎あるあるの移動距離問題、
教員不足&生徒数減少による地方過疎化問題、
(↑「まともな野球部がある高校は電車で2時間かかる」発言から)
週6×4時間という拘束が運動部員に負担をかけている事、
そして、運動部員の顧問のサービス残業など、
見ながらふと考えさせられる描写が詰まっているんです。
恐らく、なぜ強豪校は大阪や兵庫、和歌山といった関西圏に集中しやすいのか?
なぜ格差社会が存在し、弱小高校が生まれてしまうのか?を根本的な所から深掘りする事が、
2人の成長において大きな意味をもたらしていて。
現状に逃げずに向き合い続けた結果、生徒たちに影響を与えていく…
そうして最終的には、チーム全体が強くなっていく様を
描こうとしているんじゃないかという気がしました。
野球のルールは全く分からないのですが、思わず身を乗り出し、
部員1人1人にアドバイスを送る形で、あの頃の感覚や野球の楽しさを
徐々に取り戻していく南雲の変化が見られてからは面白味は感じられました。
あと、先ほどモンスターペアレントとは書きましたが(笑)
普通だったら鬱陶しいキャラクターで終わってしまいがちな役なのに、
小日向文世さんのにこやかな明るさと発声の抑揚のつけ方の上手さのお陰で
クスッとさせられる、良いアクセントになっているんですよね。
初回はまずまずでしたが、妻・美香(井川遥)の方にもあるらしいサスペンス要素と
野球部のパートのバランス次第では、化ける可能性は秘めています。
スタッフがスタッフなので、大コケはしないでしょう。
とりあえず、しばらくは様子見しつつ、今後の展開に期待します。
…あ、でも、アニメーションの挿入頻度は気になりましたね。
挿入する事によって若干テンポを崩しているような印象を受けましたし、
作画自体、前作に予算を大分持ってかれたのか?ってくらい、
凝ってる感じはなかったですから(汗)
オーディションで野球経験者を集めている上に、
青空をバックに打っている時のアングルが美しいカットもあったので、
もっと役者さんの活躍を魅せても…とは思いましたね。
Source: りんころのひとりごと。
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