ハヤブサ消防団 9話(最終回) 感想|思う所はありつつ…緊張感たっぷりの最終回

ドラマ

 

 

最終回なので、正直に言ってしまうと…

ミステリー作品で最後まで満足させるのって、中々難しいんだろうなぁという感想が

先に出てきてしまったかな?

何だか、全体的に尺が足りてませんでしたよね。

もちろん、興味を惹かせる演出を得意とする本作だから、

今回も作り込みの高さが伺える部分はあったけれども…

個人的にはそれと同時に、はてなマークが浮かび上がる部分もいくつかありました。

良かった所は後述するとして、まずは、そこを1つずつ書き出していこうと思います。

 

私が最初に気になったのは…前回のラストシーンから、今回のアバンまでの繋げ方です。

前回、江西(麿赤兒)が「ハヤブサへようこそ」と、

まるでハヤブサを侵食しているアビゲイル騎士団の信者たちを

迎え入れるかのような衝撃発言をして、消防団の面々の背筋を凍りつかせた後、

大群の中をモーセ十戒のごとく掻き分けて現れる太郎(中村倫也)…で

終わったじゃないですか。

ここまで盛り上げてきたとなると、当然、冒頭で何が描かれるのか注目したくなる訳です。

しかし、その次には、寺の中で江西が団員たちに事情を語り出すシーンに切り替わって、

寺の前にゾロゾロと集まっていた信者たちはあっさりと引き返していくのを見て…

正直、あれ?と思えてしまったんですよね。

私としては、あの状態のまま、信者たちに危害を加えられる恐れも孕みながらも

太郎が江西にどんな言葉を投げかけ、信者たちとどう対抗していくのかが描かれる事を

期待していたので、この前後の流れには消化不良感が残ると言いますか。

あの場から生まれるヒリヒリした雰囲気をもっと味わってみたかったです。

 

「あっさり」関連で言えば…もう1つは、

信者たちが彩(川口春奈)の防災無線で語ったアビゲイル騎士団の真相を

すんなり受け入れたかのような描写も気になりましたね。

百歩譲って、彩が洗脳から解けたのは分かるんです。

だって、好意を抱いていた太郎から直接説得されて、

聖母と崇められてきた展子(小林涼子)の過去を知ってから出会った

“幻”の、言わば本来の展子に背中を押されて、考えを改めたのだと解釈出来るから。

だけど…彩だって最初は「侮辱です」と言って聞き入れなかったのに、

かつて12人殺された事件があっても残るほど信仰していた人たちが

放送を聴いただけで信者を辞めるっていうのは…ちょっと出来過ぎなのかなぁと。

それに、信者が宗教から抜け出せる可能性は低いと聞くので、

あれだけ無意識にのめり込んでしまう宗教の恐ろしさを描いたのなら、

彩の発言を聞いて、執念深く探し回る人が出てきた方がまだ自然だったのかもしれません。

 

まぁ、その1人となったのが真鍋(古川雄大)なんですけどね…(苦笑)

いや〜…ライフルで太郎を撃つシーン、怖さのベクトルが今までと違い過ぎて

一瞬困惑してしまいましたよ。

えっ…そんなの持ってたの?撃てるの??っていう。

あまりに唐突だったもので、終盤辺りに駆け足感を強く覚えてしまったのが残念。

最終回では展子や映子(村岡希美)の過去に焦点が当たっていましたが、

それでもまだアビゲイル騎士団の全貌を掴み切れず…って感じだったので、

中間管理職であろう真鍋や杉森(浜田信也)が入信したきっかけも見てみたかったですね。

 

あと気になったのは…太郎のアルバムになぜ展子の写真が挟まれていたのかが

明かされなかった事と(割と一番の謎!)、

前半で描かれていた、太郎が幼少期にハヤブサで過ごしていた頃の記憶がなかった件が

関係していなかった事くらいかな?

 

では、「?」と感じた部分への感想はここまでにしておいて…

今度はそろそろ、良かった所について書いてみようと思います。

 

まず、何と言っても、ミステリー作品の最終回でありがちな

「ばっかり」の描写・演出をやらなかった所です。

「ばっかり」が何かと言えば…例えば、説明台詞や独白、回想などが挙げられます。

ミステリー作品の場合だと、最終回は全ての謎を回収する”答え合わせ”回となり、

必然的に言葉や映像を通して説明する事が増えて、

結果、画面が単調になってしまいがちなんですが、

本作は、作家である太郎の設定も活かしながら

終始緊張感を漂わせた内容に仕上がっていたと思います。

 

特に目が離せなかったのは、序盤の方の

さんかくで行われた太郎と杉森による、”対峙”を表すカメラワークです。

最初に太郎が話している時は、話し手⇆聞き手側で交互にカメラを切り替えて

対等である事を示していたのに、

杉森が話し出し「強い絆で結ばれたハヤブサ消防団が、彼を救えましたか?」と

核心をつく発言をしてからは、

その時の太郎の反応を伺うような、覗き込むようなカメラワークになるんですね。

 

で、後ろから、前から、正面から…と、杉森だけ他方向から映す事で

杉森が優勢になりつつあるのを強調しているんですが、

それに対して太郎が話を返すと、太郎をいきなり正面で映すようになって、

次は目と目の応酬が始まって、中々引けを取らない彼の鋭さ・強さを表現しているんです。

(この説明で伝わるかな…?)

太郎は杉森の並々ならぬオーラにも対抗出来るのか?

どちらが言い負かせられるのか?

2人で繰り広げられる言論バトルにドキドキハラハラさせられっぱなしでした。

 

そして、「作家である太郎の設定も活かしながら」と書いたのは、

彩に江西や映子の証言をまとめた脚本を差し出したシーンについて。

太郎は探偵ではなく、あくまでもミステリー作家なので、

脚本を通して事件解決へと導く流れにしたのは適切な手法だったと思います。

終盤のシーンにしても…

さっきは真鍋がライフルを所持している件にツッコミは入れたけれども(笑)

ハッピーエンドかと思いきやバッドエンドになってしまうのかと、

最後まで結末が読めない展開を楽しむ事が出来ました。

 

したがって、ミステリー作品に元々期待していなかった私からすると…

惜しい部分もあるけれども、全話を踏まえてみれば

謎めいた世界観に引き込まれるように見てしまったって所でしょうか。

新感覚でもありましたよね。

ミステリーとなると、洋館!密室!大勢キャストによる遺産相続!ある日突然容疑者に!?と

わりかし非現実な設定から来るものが多いイメージなんですけど、

本作の場合は、高齢化社会が加速する限界集落に潜む危険性や、

宗教に入信してしまう者の心理に、カルト宗教団体の実態、

人間が人間らしく生きられる場所は田舎にもあるのだ…というメッセージ性など、

ごく現実的で、自分自身考えさせられてしまうような要素がふんだんに盛り込まれていて、

その不思議さが、次回も見てみたい気持ちにさせてくれました。

 

初回の感想でも書きましたが、ミステリーなのに

おじさんたちによるわちゃわちゃシーンがあったのもかなり新鮮で。

省吾(岡部たかし)は悲しかったですが…もう見られなくなると思うと寂しいですね。

本作に出演された役者さん方がもっともっと好きになる作品でもありました。

中村倫也さんの、ふとドキッとさせられるような視線の鋭さとか、

今回初めて認知した浜田信也さんの

あの空気を掌握する目力はしばらく頭にこびりつきそう…とか、

役者さんの新たな収穫も得られて、総じて面白かったです。

 

↓前回の感想はこちら↓

 

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Source: りんころのひとりごと。

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