「とりあえず3年」…働いていると耳にする事が多い言葉ですよねぇ。
初めて聞いたのは、私が新人社員研修に参加した頃で、
「自分で一通りの仕事を行えて、仕事の面白さが分かるようになってくる時期」
という意味合いで語られていて印象に残っていたのですが、
その言葉を信じて地道に仕事を続ける社会人は決して少なくないはずで。
身近なテーマを取り扱った内容なだけに、本作ではどう噛み砕いて描かれるのか
注目しながら見ていましたが…今回は一段と良く仕上がった回でした。
来栖(成田凌)の過去が3話で描かれ始めたのは意外でしたが、
それが良かったのかもしれませんね。
彼もかつては笹川(渡邊圭祐)と同じく、
仮面をつけて働いていた事で自分の心を殺した人だった。
彼の過去に触れ、2人に共通点を持たせたお陰で、エピソード自体に奥行きが増し、
視聴者も思わず自分事として考えたくなるような話になっていましたし。
来栖の”毒舌”にも、人生の酸いも甘いも噛み分けた重みを感じさせて、
「なぜ彼は毒を吐き続けるのか?」「なぜ彼は”魔王様”と呼ばれているのか?」に
説得力を持たせていたと思います。
そして、来栖と笹川が”辛い経験を味わった者同士”ならば、
千晴(小芝風花)にとって笹川は、自分には出来なかった「とりあえず3年」を成し遂げた、
ある意味”尊敬の人”と言えるでしょう。
今回は他にも、来栖と千晴それぞれ
笹川との一対一での対話シーンが用意されていましたが、この見せ方が面白かったです。
会話の内容から、エージェントとしての仕事観や
物事に対する考え方の違いが浮き彫りになっていて、
そんな真反対の2人が1人の求職者に解決策を見出す所により興味が湧きました。
本編の息抜き的な社内パートも、ちょうど良い塩梅でしたね。
メインで描かれている「仮面をつけて働く社会人」に対して、
ここのパートで描かれているのは「加工で自分を盛る」で
“偽り”で関連性を持たせているので、蛇足感を覚えないんです。
むしろ、事件の手がかりを掴むみたいにハッとさせられるようなセリフもあって、
何気に重要なパートとして見ておりました。
結末も納得出来るものに。
スキル云々は抜きにして、嫌味も言わず、相手の良さを認めてくれているデザイン部に
異動してみてもアリなんじゃないかな?とは思いましたが、
違う舞台で活躍している同期たちに刺激を受け、少し焦りが出始めたのは確かですし。
3年もあの上司の元で働いていたからこそ、今度はちゃんと尊敬の出来る上司の元で
一から働き直して、自分に自信をつけて行きたい…という笹川の意思を考えれば、
やはり転職した方が彼のためなのかもしれませんね。
作り笑顔から素直な表情へとゆっくり変わっていく
渡邊圭祐さんの人間味ある演技も相まって、晴れやかな気持ちで見終える回となりました。
ゲストという形ではありましたが、本作での役が一番良かったです。
役者として、一皮むけたような気がします。
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Source: りんころのひとりごと。
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