「ポップで痛快なお仕事コメディー」という事で、
どんなタッチで描かれるのかと思いながら見てみましたが…
痛快だったかどうかは別として、
うん、これは、全ての面において程良い感じに仕上がっていましたね。
伊藤沙莉さんが主演を張るという関係図に新鮮味が感じられるのはもちろん、
執行関係者の面々には名バイプレイヤーが集っていて、
1人1人が柔和かつ楽しげなキャラクターに描かれているので
役者さん方の掛け合いでもう惹かれてしまいます。
ここは、愛らしい人物を生み出すのが得意な、さすがの大森美香脚本といった所ですね。
あとは…やたら独特な喋り方をする探偵や
アメリカナイズドな弁護士で苦手意識を感じていた織田裕二さんの演技が
良い意味で”普通”だったお陰で、かなり見やすかったです(笑)
そして、中でも特筆しておきたいのは、劇伴について。
演出がどちらかと言うと誠実寄りで、パンチ力のある遊び心を取り入れない代わりに
軽やかで愉快な劇伴でバランスを取っているような気がして、
それが本作にしっくり来ていたんじゃないかなぁと思いました。
やっぱり司法機関でお堅い役職を取り扱った作品なので、
真面目に見せようとすると視聴者にとっつきにくさを与えてしまうし、
逆に親しみやすさを感じてもらおうとしてコメディに力を入れると、
かえって軽過ぎて、お仕事の描写が嘘っぽく映ってしまう訳で。
演出家の交代で今後多少変わってくるのかもしれませんが、
劇伴がコメディの引き立て役に徹する方向にしたのは正解だったと考えています。
個人的には…中盤辺りの、小原(織田裕二)が執行関係者を二川家にゾロゾロ連れ込んでくる
シーンでかかった渋めの劇伴がお気に入りでした。
そんな感じで、雰囲気は良し、役者さんも良し!な初回ではありましたが…
強いて言うならエピソードでしょうか。
ひかり(伊藤沙莉)が小原の仕事ぶりを見て
「犯罪者」「闇金」だと捉えてしまったのもそうですが。
彼が少し悲しそうに「それと…私はそんな偉い人じゃない」と嘆くシーンや
周りからの発言を思い返しては悩むシーンからして、
強制的に物事を行う立場だからこそ招きやすい“誤解・偏見の払拭”が
本作の裏テーマになっていると思うんですね。
もし本当にその通りなんだとしたら…(それを前提として書きますが…)
視聴者側にいるひかりの気持ちに、もうちょっと寄り添えるような描写を
して欲しいかなぁとは思ってしまいました。
ひかりが同情しているのは、子供もいるのに、家を引き渡す事になってしまった二川家。
じゃあよっぽど酷い仕打ちを受けてきたのか…と言われたらそうでもなく。
確かに、真っ当に働いてきたはずなのに、理不尽な理由で仕事をクビになった事に
やり場のない怒りや悔しさを感じるのは分かるけれども、
期間内に次の家を探そうとする動きもなければ、
アルバイトをするなどしてお金を工面する様子もなく、
事情も明かされないままひたすら「ここから出ない!」と言い張って籠城するのは…
正直、これっぽっちも擁護出来る要素が見当たらなかったんですよね。
だから、なぜ彼女が、家賃を何ヶ月も滞納されて生活に困っている大家さん”も”ではなく、
二川家”だけ”に同情するのかがピンと来なかったのです。
執行官が関わる以上、相手は当然悪い事はしているので、
お節介なひかりを介入させるんだったら
なぜ彼女があそこまで庇おうとするのかにもっと説得力を持たせた話にして欲しいし、
そもそも、もう少し相手側のバックボーンを膨らませるのも
アリなんじゃないかという気がしました。
まぁそこは、初期設定の紹介が中心の初回だったから、次回以降に期待という事で…。
前述の通り惹かれる部分はありますし、大コケはしないとは踏んでいますが、
1話完結型エピソードや、取り扱うお仕事内容にネタ切れ感を覚えさせないか次第で、
良作になるか惜しい止まりになるかが決まりそうですね。
あのガッチリ揃えられたキャストですもん。
上手く行けば続編も視野には入れているでしょうし…。
(でも来年は伊藤沙莉さん主演の朝ドラが控えているので、せいぜいSPかな?)
まだ影の薄い栗橋(中島健人)の活躍がそのうち見られるのかどうかも含めて、
次回も応援しながら見ていきたいと思います。
Source: りんころのひとりごと。
コメント