前回の数々のエピソードを振り返りながら、
今回は新名(岩田剛典)のモノローグで物語が始まるんですね。
こういう、1つの物事を様々な視点で描く事で、登場人物や話に深みを持たせていく手法…
自分が考えていたのとは違った新たな”気づき”を得られたり、
作品の持つ世界観と見ている側で距離が縮まっていく感覚を覚えたりして、好きなんですよねぇ。
それで言うと、新名のモノローグの中でも一番印象に残ったのは、
桜の咲く場所で新名がみち(奈緒)を誘ったものの、
結局その誘った本人が会いに行くのをやめたシーン。
視聴当時は、もしかしたら彼女なら
自分の抱える夫婦での悩みも分かってくれるんじゃないかと期待しつつ、
いざ約束の日になったら、妻のいる自分がまだ接して間もない部下と2人きりで
デリケートな話をしようとするなんて…とふと我に返って
あの行動に至ったのかな?なんて思って見ていましたが、実際は少し違っていて。
「口に出したら本当の事になってしまう」から
打ち明けようか、打ち明けまいかで葛藤していたのだと分かって、
何だか視界が開けたようでした。
内容自体は…今回は4人それぞれが独自に抱える「どうしても譲れないもの」が
描かれた回だった気がします。
例えば、新名だったら、夫婦2人で過ごせる時間をたった3分でも探して見つけては
仕事に励む楓(田中みな実)を支える、
彼女にとっての心の拠り所的な存在でありたいという理想。
楓だったら、夫がいながらも仕事はまだまだ続けていきたい、
キャリアプランをしっかり立てていきたいという想い。
みちだったら、陽一(永山瑛太)が愛してくれるのは自分で、
これからも夫でいてくれるのだと実感したいという切実な気持ち。
そして、陽一だったら、「自分らしく、正直に生きていきたい」という信念…。
前回に引き続き、4人の人となりが少しずつ明らかになっていきました。
それぞれの「譲れないもの」が何なのかを浮き上がらせるために、
新名の母・幸恵(大塚寧々)や楓の職場の編集長・川上(MEGUMI)、
三島(さとうほなみ)など、自分のあり方の基盤になっていたり、
影響を受けたりする人物とのエピソードが個々で用意されていたのも良かったですね。
そのエピソードを積み重ねたお陰で、2組の夫婦が上手くいかない原因が見えてきて
考えさせられるようでしたし。
それに、お互い”人生のパートナー”として大事に想っている所は共通していても、
「譲れないもの」に強くこだわっているがために、
夫婦関係に入ったほんの少しのヒビが、どんどん深くなって夫婦崩壊を招いてしまう…
というのがじっくり描写されていたと思います。
また、前回の感想でも、小物を使っての演出について触れましたが、
今回は「相手に残す(残した)もの」が何かで
対比をきかせているかのような見せ方に引き込まれましたねぇ。
新名が楓の記憶に残そうとして渡したものは、楓の好きな色や花言葉を考えたりして
一生懸命花を選んだオリジナルの花束で、
陽一が無意識に残してしまったのは、椅子で脱ぎっぱなしで放置されていた片方の靴下。
花束から漂う華やかさは、これからも楓を支えていきたいと
前向きに考える新名そのものでしたし、
靴下は片方が放置された状態だと、妙にヘナヘナで、脱力感を覚えるもので…(泣)
まるで孤独になりつつあるみちの心境を表しているみたいで
不思議と切ない気持ちにさせられました。
で、花束は花束で、そこも対比をとっていた訳ですが、
陽一が買った花束はいかにも「スーパーで慌てて買ってきた」感満載で、
さらにあの場でシールをベリっと剥がす所のアップなんかは…
何とか罪滅ぼしをしようとしているのが顕著に伝わってきましたね。
全てではないものの、今回では新名の視点が描かれたので、
陽一と楓の残り2人の背景に触れる回も必ずやってくるでしょう。
しかし、夜景を目に焼き付けて思い出し泣きしているともとれるシーンで、
三島もただのあざとい人物では終わらないのかなぁ…とも思えたり。
彼女の場合は行為が行為なので、強く共感までは行かなさそうですが、
ちょっとでも見方が変わる時が訪れるのかもしれませんね。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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