今回は、今の時代を統治している吉宗(冨永愛)と久通(貫地谷しほり)に、
次世代で”隠れた才能”を感じさせる家重(三浦透子)と龍(當間あみ)を重ね合わせながら、
世代交代を緩やかに描いていった回でした。
前半は吉宗のお仕事パートで、後半は主に後継ぎの話になるので、
途中までは、バラバラなエピソードなのではないか?と思うかもしれませんが、
終盤の吉宗による家重への説得シーンで
あえて前後に分けた構成が効いてくるんですね。
「己の無力と向き合わされ、投げ出す事も許されず、時として世の恨みまで買う。
将軍とは誠に左様な役回りじゃ」
これは吉宗が、赤面疱瘡をなくそうとして国の大改革に励んだ
実体験から出た言葉ではあるんですが、ある意味、家重とも共通しているような気がします。
家重の場合、自身が言語障がいを患っていて、人とコミュニケーションを取るのに
コンプレックスを抱えているにもかかわらず、
“将軍の娘”で、しかも後継ぎで有力候補になりやすい長女であるがために、
否が応でも表舞台で先陣を切る役割を全うしなければならない…。
そして、知能は人並みにあるのに、言葉を上手く発せない事から批判にさらされ、
ついには「家重は将軍に向いていない」ともとれる悪口を言われてしまう…。
そんなやるせなさを日々痛感する様子が描かれました。
前半では吉宗の、トップに立つ者だからこその挫折や絶望感を味わいながらも、
どんな困難な時でも「己よりも他人や国の事を考える」のを怠らない
将軍としての覚悟が描かれていて。
そう考えると長い間、自身に与えられた役割を途中で投げ出さず、
漢詩を覚えるなどして努力を重ねてきた家重にも、
その器は十分に備わっているとも言えるんです。
「役立たずだから死にたい」は「生きるなら人の役に立ちたい」の裏返しではないかと説得し、
その言葉にハッとさせられる家重のシーンは印象的でした。
で…特に何がグッときたかって、吉宗が優しく抱きしめた時のライティングですね。
(以前から度々演出は褒めてはいますが)
両方にではなく、比較的家重の方に強く光を当てている辺りに、
まさしく親が我が子に未来を託す瞬間を感じさせました…。
シーズン2に向けて、次回から家重編になるのかどうかは分かりませんが、
バトンタッチを象徴する優れたシーンだったと思います。
今回は他にも、冨永愛さんに貫地谷しほりさん、三浦透子さんに當間あみさんと
女優劇場があらゆる所で繰り広げられていて、みっちみちな45分間でしたね。
もうその言葉がしっくり来ます(笑)
當間あみさんは、語尾の残し方や抑揚から、時代劇ではまだ初々しさは感じられたものの、
相手の本質を見抜く聡明さや、家重を知ろうと積極的に仕える健気さを持つ
今回のキーパーソン的立ち位置ではあって、存在感を遺憾なく発揮されていましたし。
三浦透子さんは…家重が言語障がいだというのは見ながら初めて知りましたが、
言葉が聞き取れるか聞き取れないかの絶妙な喋り方が上手くて、
家重へのもどかしさがより伝わってくるようでした。
シーズン2があるというのを既に知っているので、そこまで寂しさはありませんが、
どのようにして一旦ピリオドを打つ事になるんでしょうかね?
吉宗が倒れている予告も含めて、気になります…。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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