恋愛要素はもちろん、サスペンスもあり、コメディもあり…で
一言ではジャンルを括れないような、何だか不思議な内容でしたね。
そのお陰か、いろんな作品を思い浮かべながら見ておりました。
恋愛とサスペンスの融合で、切ない雰囲気を醸し出させる作りは「最愛」を。
幽霊が絡んだ設定とコメディ繋がりで「あのときキスしておけば」を。
看病のシーンや交差点のシーンで、少しキュンとさせるような
格好良い姿を見せてきた所は「恋はつづくよどこまでも」を彷彿とさせます。
…ってまぁ、後半に関しては、佐藤健さんってそう言えば
TBS作品のご出演が多いよなぁ…と考えていて出てきた事ではあるんですが。
でも、中でも一番近いのは、
去年のちょうど同時期に放送された「妻、小学生になる。」だと思っています。
しょっぱいプリンで直木(佐藤健)がそばにいると確信するラストシーンなんかは特に、
ハバネロがかかったミートボール入り弁当のくだりと重なってしまいましたしね(笑)
あちらは脇役ではありましたが、幽霊と会話出来る人物が存在しているのも一緒です。
ただ…「妻、小学生になる。」とは近くても
“同じ”までは行かないと思える理由は、2点あって。
1点目は、その作品が、最初は妻が生まれ変わりの姿でやってきたのが
後に幽霊だったと判明していたのに対して、
本作では、直木が彷徨っている幽霊である事を先に明かしてから
他人の体に憑依する…という、実態を逆方向から描いてきた点。
2点目は、その作品だと、妻の他界から数年経っても前を向けない主人公の未練を強調しながら
ゴールを「家族再生」にしていたのに対して、
本作は「直木はどうして亡くなったのか?」「直木の家族関係は?」
「事件との関連性は?」「そもそも生霊の線もあるのでは?」といった、
(初回の印象だと)当時はあまり語られなかった彼の真相に迫る所をゴールに定めている点。
こう書いてみると、大まかな設定は似ていても、
テーマ自体や細部では異なっている事が分かるでしょう。
言い換えると、今は既視感を覚える設定でも、
今後の展開次第では差別化は大きく図れるし、化ける…
そんな可能性を秘めているという事にもなります。
原作の実写化なら「きのう何食べた?」や「G線上のあなたと私」、
オリジナルなら「サギデカ」と、どちらも成功を収められている安達奈緒子さんと、
同じくヒット作を多く生み出している磯山晶プロデューサーとのタッグなので、
大コケはしないはず…という訳で、期待はしてみたいです。
内容に関して言えば…
本作のうたう「”切なくて温かい”ファンタジーラブストーリー」に合わせて、
全体的に演出も劇伴も落ち着いたトーンで作られていた所が好印象でしたし。
お2人の日常感溢れる会話劇の上手さはもちろんなんですが、
今期のドラマの初回はどれも
人物にまつわる説明台詞や小ネタで詰め込み過ぎな傾向にあった分、
台詞の量も程良く、間の取り方も適切で、映像で魅せていってくれる内容に
居心地の良ささえ感じさせました。
強いて言えば、上にも書いたように、火10枠を思わせる演出が一部あって「?」と感じたのと。
設定上仕方ない部分はあれど、譲(松山ケンイチ)と直木のコメディなやり取りが
落ち着いたトーンで展開されていく内容に対して、若干浮き気味にも感じた事。
そして、憑依が絡んでしまったら何でもアリでは…?
「確かにそばにいる」と確信する悠依(井上真央)の心情変化は
初回のハンバーグで終わり…じゃなくて、もう少しじっくり描いて欲しかったかも…と、
気になる所はいろいろあったんですが。
でも、想像していたよりも先を見てみたくなる要素もあり、
惹かれる物語だったのには間違いないので、次回も引き続き見ていこうと思います。
それにしても、今期のプライム帯…
設定や作り手の癖が強いドラマが多いのは気のせいでしょうか(笑)
Source: りんころのひとりごと。
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