女性同士による爆弾発言、大声で怒鳴り散らす愛川(寺島しのぶ)、
天乃(松平健)への「私の方が真面目に仕事やってます」マウント…
女性キャラを”強い女”に仕立てようとしている描写が、
いかにも中園ミホさんらしい作風だなぁって思います。
それだけに、肝心のナースたちのストライキ行為が、
自分たちの意見を貫き通すたくましさを見せる訳でも、言動の未熟さを反省する訳でもなく
中途半端で終わってしまったのが残念です。
愛川の退職を機に、菊子(安達祐実)を筆頭にナースがそれぞれ仕事を手分けするようになり、
くたくたになった所で「部長は何も言えないんじゃなくて、私たちがこうならないようにと
少しでも自分に負担をかけてくれていたんだ」と気づく女性ナースたちの”成長”が
盛り込まれていたなら、ストライキのシーンもちょっと感動的に見えたかもしれませんが。
あの感じだと、改善点すら考えずにぶつくさ文句を言い、結局全ての仕事を愛川に押し付ける…
要は「やっぱり部長の存在が必要」じゃなくて「自分の仕事を減らして楽になりたい」がために
愛川の復帰を求めたようにしか映らなかったんですよね。
せめて、愛人の噂が数年前から広まっているのを利用して、
本人に直接脅すくらいしてやったら痛快感で魅せる話にもなったでしょうに、
それもないので…。(だって、理不尽な理由でクビにしたのは事実なんだし…。)
愛川が本音を初めてぶちまけた前半と対にして、
後半では、今度は部下たちがグイグイ核心に迫る…という構成をとっていたら、
「愛川に長年指導してもらった立場」として、”成長”が見えて
面白味が増したんじゃないかとも思えてしまいました。
そして、これは今まで本作を見てきた上で感じた疑問なんですけど…
全9話だと想定して、もう2/3である6話に到達しているというのに、
歩(岡田将生)の成長があまり実感出来ていないのは私だけでしょうか?
静(中井貴一)の影響を受けている事が伝わったのは
4話での患者に嘘をつくくだりくらいで、
あとは基本的に、毎回振り出しに戻っている気がするんですよね。
日本の医療体制の愚痴を言う→偏見に囚われる→静の言葉で考えを改める→行動に移す
のローテーションといった感じ。
今回なんかは…着実に成長しているのなら、
少なからず、愛川があの日突然声を荒げた事に違和感は覚えるだろうし、
数ヶ月間彼女と関わっている以上は
「患者の事ももう少し考えてくれたら良かったのに」なんて考えには至らないはず。
最近は、メインエピソードに歩が時々首を突っ込む形になってしまっているのも含めて、
このままだと、”成長の集大成”とも言える最終回にちゃんと繋がるのかが不安です…。
当初は「ああ、『ドクターX』が長編シリーズになったのも分かるなぁ」
と思える出来だっただけに、
回を重ねるごとに、展開や設定に粗が出始めている感は否めませんね。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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