想(目黒蓮)と話せて、想の声を久しぶりに聞けて
「全然変わんないね」と言う湊斗(鈴鹿央士)を見て、
前回の萌(桜田ひより)のこの言葉がすぐさま頭に過ぎりました。
「今まで何があったかも知らないで、久しぶりに再会して」
「自分はその間、湊斗くんと呑気に楽しくヘラヘラ…」
これは本来、想と再会したのを機に手話を覚え始めた
紬(川口春奈)への嫌味で言った言葉ではありますが、
実は「呑気に楽しくヘラヘラ」は彼にかかっていたんじゃないかって…。
今回は、変わってないと思い込みたい湊斗が
想との間にある壁を徐々に広げていってしまう、いたたまれないお話でした。
湊斗って、本当に純真無垢な性格なんだろうなぁってつくづく思わされるんですよね。
ラインでやり取りしている時の彼の、目を輝かせた表情を見ていると、
高校の帰り道で想の名前を呼んで、やっと振り向いてもらえた時の
あのワンコのような笑顔と重なってしまうんです。
だから「湊斗も変わんないね」と返されたんだろうなって。
…でも、3年という月日が経って、耳の件もある以上、「全く変わらない」なんて事はない。
話すのが楽しくてしょうがなくて、1人でキッチンに向かっても喋り続けてしまった際に、
あえて数秒間だけ無音にし、
“何も聞こえない空間”をずっと過ごしている想視点の話を視聴者に共有した事で、
両者の気持ちにどれだけズレが生じているかを示すシーンには
グサッと来てしまいました…。
それからも、「考え過ぎだった」「変わってなくて良かった」「みんな元に戻れる」と
いろんな人にポジティブな事ばかり言う湊斗。
フットサルで集まると知って、大丈夫かと心がザワザワしていた頃に、
正輝(風間俊介)が核心を突く言葉を手話で放ってきます。
「どうしたって僕は聞こえるので、ろう者同士みたいに…分かり合えないです」
彼は本作の登場人物の中でも、人生を知り尽くしているかのように
一歩引いて周りを見る立場にいる唯一の人物だと捉えているので、
ああ、これが後々の”答え”になってしまうんだろうな…というのも察せられました。
しかしまぁ…まさか、自ら別れを告げる展開になるとまでは思いもしませんでしたね。
ハイライトをつけたキラキラした目が、別れようと決心した時には、
下を向いているのもあって黒目がちの目になってしまっていた辺りに、
自分がどれだけ相手の想いを深く知ろうとしなかったか、
どれだけ表面的に物事を見ていたか…という湊斗の自責の念が伝わってきて
余計に切なかったです。
でも、それ以上に切なかったのが、2人が楽しそうに手話をしているのを見て、
やっぱり自分は…と勝手に決断してしまった事ですよね。
初回では正輝に向かって「(手話は)出来れば覚えたくない」と言い、
2話では想が耳が聞こえないのを知っていてもなお普通に話し、
で…今回もキッチンでつい喋り続けてしまう。
とにかく、あの時のまま…”普通”がいつまでも続いて欲しい気持ちにブレがなかった。
青春してきた高校時代の同級生という同じスタートに立っていたはずなのに、
2人はもう自分とは違うフィールドにいる。
2人とも大好きな恋人・大好きな親友だったから、
そこに自分が介入する事で関係を打ち壊したくはない。
そんな不変を願う彼だからこその決断だったんでしょう。
でも…その思いやった”つもり”の行為が、結果的に想に
「自分が来たから2人の恋人関係を壊してしまった」と思わせ、傷つける事になってしまった。
正輝の言っていた「分かり合えないです」は、最後のここに皮肉としてかかってきた訳です…。
なんて恐ろしい積み重ねの描写をしてくるのだと、改めて見入った1時間でした…。
視聴者は、想がまだ紬に未練がある事も既に知っているので、
それに全く気づこうともしない湊斗に焦ったさを感じてしまうんですよね。
ちょっとした”心のすれ違い”が常に描かれているのが、
TVerのお気に入り登録の増加やタイムシフト再生1位にも繋がる理由なのかな?とも思います。
例えば、前回で紬の「好きじゃない」という文字をはっきり目にした
想のシーンが描かれたからこそ、今回の湊斗の「任せとけ」もじわじわ効いてくるというか…。
1つ1つの心情変化の蓄積が、登場人物への感情移入度を高くさせているような気がするんです。
主題歌の「伝えたい 伝わらない その不条理が今」のシンクロ具合も凄かったですね。
そして、光(板垣李光人)の様子を見る限りは、湊斗にずっと片想いしていて、
結局、紬との恋を応援する事にした…という線もありそうです。
自分よりも相手を最優先する湊斗に、何だかイラッとしているようにも見えましたからね。
あとはやっぱり…正輝と奈々(夏帆)が元恋人同士だった可能性も?
いずれにせよ、3人がバラバラになってからの次回が気になります…。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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