何とか整理したものの、いろいろ書きたい事があり過ぎて、感想が長くなってしまったw
ごちゃっとしているかもしれませんが…。
いやぁ、なんて繊細な脚本なんだろう…。
湊斗(鈴鹿央士)が想(目黒蓮)の耳が聞こえない件を秘密にしていたと分かっても、
怒鳴ったりはしないし。
想があの時突然別れを告げた理由を「なんで?」と責めるように
大声を上げて泣いたりもしない。
全体に流れる空気は、基本、静か。
登場人物を感情的にすればドラマチックで見映えが良くなる上に、
展開も描きやすくなるだろうに、
それをあえて取っ払って、2人の間で行われる日常的な”会話””やり取り”だけで、
些細なすれ違いや少しピリッとした雰囲気、距離が縮まっていく様…
各々の関係で生まれる心情変化を描こうという、
中々チャレンジングな事をされているなぁ…と思います。
役者さんへある程度信頼を寄せていないと、今回の内容は完成しなかったかもしれない…とも。
本作、音に配慮しているのがひたすら伝わってくるんですよね。
例えば、水道の水を流しっぱなしにしていた想の母・律子(篠原涼子)に対して、
なぜ想はわざわざ水を止める行為に出たのか?という、水を使っての暗喩的な表現とか。
“覚悟”を決めた時、聞こえていたブランコの音が一瞬無音になるとか。
あとは、2人の会話に集中させるために、普段聞こえているはずの周りのガヤガヤした話し声を
ほとんどかき消す処理を施すだとか。
…特に3つ目が、物語を魅せるのには欠かせない演出になっていて、
静かな空間にする事で、その中で挿入される劇伴や
ぽつりぽつりと語りかける小説風の台詞回しが、凄く意味のあるものに感じられるんです。
その演出で個人的にグッときたのは、
紬(川口春奈)の何気ない独り言が全て音声アプリで拾われちゃって、
その文章を見て想がやっと笑った時に、
初回の冒頭で雪を見ていたシーンで流れていた”あの劇伴”がかかり始めた所。
高校時代と変わらない、ふわりと優しくて、
でもどこか泣き出しそうな笑顔を見せてくれた想の表情も相まって、
ここからまた、わだかまりがなくなろうとしている…
そんな安堵感を感じさせて、ついつい涙してしまいました…。
そして、前回の見返しと、今回の内容を見て、
なぜこんなにも心が揺さぶられるのか?の理由がなんとなく見えてきた気がします。
ラストで盛り上げるための”前フリ”の肉付けの仕方が上手いんじゃないかと。
初回では、
・音楽が好きで、教室でも外でもいつもイヤホンをつけて聴いていた想
・名前を呼びたくなるほど、想の声が好きだった
・しんしんと降り積もる雪を見ている最中に、紬にとびっきり元気な声で話しかけられて
「うるさい」と笑いながらツッコんだ
この3つの要素が、高校時代のエピソードでじっくり、かつ印象的に描かれた上で、
最後ではそれらが「もう戻ってこない」と言われているかのような、
全てを打ち返すかのような展開になっていて、ショックを残したまま終わりました。
で、今回は…
・想が何を話したかったのかを聞かずに、自分の気持ちを沢山話してしまった事に
後悔を覚えていた紬
・眩しいくらいに輝いた笑顔や声色で、まっすぐ目を見て話しかけてくる紬
・「好きな人がいる。別れたい」の真意
の3つ。
初回で、もう昔と今とでは違う世界にいるんだ…と視聴者に思わせたために、
序盤での高校時代のエピソードも”切ないもの”に見えてしまいます。
でも、まさかの全部回収。
初回では”絶望”、今回では”(小さな)希望”の意味で
逆転した内容になっていたお陰で、雪解けして、2人がまた以前のような関係に戻れたら…と
願いたくなるラストに仕上がっていたと思います。
2人の関係の変化を描くにあたって、
今までの出来事をきっちり時系列で描くのもアリではあるんですが、
1話内で 回想→現在 をコンパクトにまとめる構成だからこそ
読み取れるものもあるんですよね。
また比較しますが…大好きだった人が耳が聞こえない事が分かった初回。
過去の想いを告白し、ちょっぴり打ち解け合えた今回。
少しずつ進んでいっている事が分かるでしょう。
それはまるで、”あの頃”で止まっていた時計の秒針が、
再会を通して長い年月をかけて、1秒ずつ、1秒ずつ動き始めているみたい。
しかし同時に、その進歩こそが、
「好きだから(声が好きだと言ってくれる紬の笑顔を奪いたくないから)別れた」
想の未練がまだ拭い切れていないようにも捉えられます。
今度会ってよ!と言われて、動揺した表情を浮かべたのを見たら…お察しですよね。
主人公たちを囲む登場人物の、今後の動きも気になりますね。
恋愛には介入しない立場だと凡そ確定しているからか、
正輝(風間俊介)が登場するシーンはやはり”異質感”があって、身が引き締まりますし。
周囲に想の事情を話してしまう事で”フラグ”が立てられていますし。
サッカー仲間の「障がいある奴の方行かないだろ」に対して
あえて紬が手話教室に通い始めた事を話す湊斗は、
“当て馬”の三文字で片付けるのは違う気がしますし。
律子の咽び泣きも、弟・光(板垣李光人)の怪訝そうな態度も
絶対何かあるんじゃないかと思えてしまいます。
登場人物が多い故、サブエピソードが増えて散漫しそうな可能性はなくはないものの、
2人の恋愛模様、三角関係にどう絡んでくるのか楽しみです。
…CMの入りに関しては、やっぱり相性が合わないなぁとは思いますが(笑)
でも、前回よりもぶつ切り感は減ったんじゃないでしょうか。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
コメント