最終章辺りになると「なんでそんな展開になるの?」と思える話が多かった遊川作品ですが…
本作に関しては、ここ最近の作品よりも群を抜いて、かなりチグハグな作りになっていますね。
まず、「正しいお金の使い方」というテーマはどこに行ったんでしょう?
以前のトラコ(橋本愛)の主張から考えるに、
彼女の理想としている「正しいお金の使い方」は、
自分より頭の悪い人が親のコネを使って一流大学に入ったり、
怪我をしても労災が下りなかったり、政府は予算の無駄遣いばかりしていたり…といった、
本当にお金に困っている人に限って届かない不条理な世界を
変えたいという熱意から来ているはず。
でも、彼女が今回やろうとしていたのは後妻業。
まぁ今までの、家族の人生を掻き乱した数々の犯罪行為にも言える事ですが…
大金欲しさのために後妻業にまで手を染め、不動産王に結婚を要求し、
命を狙う行為のどこが「正しいお金の使い方」なのかと矛盾を感じられずにはいられません。
そして、前回と今回の内容を見てみると…う〜ん…上手く言えるか分かりませんが、
前回まではトラコが「今の世界を自分の力で変えていきたい」思いが強いがために、
3つの家族を裏切ってまで我が道を進む=孤独になっても動く 決心をした、
言わば、優しさも人情味もない性格として描かれていたのに。
今回だけだと「母親が去って、誰にも甘えられないまま育ったが故に、
自分を傷つけるしか生きる方法はなかった」という、
強がったフリして、実は不器用でか弱い性格だったかのように描かれていたのも
個人的には引っかかっていて。
3人の母親が彼女を助けたいと思う理由も、「彼女の暴走を止めたい」じゃなくて
「自分を傷つけて悲しんでいる彼女を何とか救ってあげたい」という感じになっている辺り、
どうも根本的な所が挿げ替わっているような気がしてならなかったのです。
え〜と…今回の展開にするなら、あの主張はなくても成立したのでは?
「正しいお金の使い方とは何か?」といった社会派なテーマを盛り込む必要もなかったのでは?
もっと極端な事を言うなら、3人に近づいた動機が
母親への復讐から来ているのかもしれないと察せた5話から
今回の内容へと直結させても、何ら違和感がなかったのでは??
“連続ドラマ”であるだけに、いろんな疑問符が浮かび上がってきます。
3人の母親とトラコの接点にしても、トラコがそれを知っていて近づいたんじゃなくて
単なる偶然だった…で済まされていたのも、何だかこじつけ感が凄かったですね。
結局、世間の不条理さを訴えるまでになった背景も明かされないまま、
みんな浄化されてハッピーエンドの方向で行くんでしょう。
子供たちが急に親に対して反抗するようになったのに関しては、
トラコと福多(中村蒼)を以前の関係に戻すために
「正しいお金の使い方」を実践しようとしているから…だったら良いんですけども。
まさか、目標に到達する事で、自分の家庭教師でなくなってしまうのが寂しいから
構ってもらっているとかじゃあないですよね?
作風的に、あり得なくはないですからねぇ…(苦笑)
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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