妻、小学生になる。10話(最終回) 感想|妻が家族に残したもの

ドラマ

 

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今期のドラマの中では、連続ドラマならではの醍醐味が味わえた点で

最も美しい形で終わった最終回でした。

 

前回のラストを見た時は恥ずかしながら、また辛い目に遭わせるだけだし、

圭介(堤真一)を中心に前向きになろうとしている最中なんだから、

もうこれが最終回で良かったんじゃなかろうかと思っていましたが…

10年前には叶えられなかったレストランが実現出来たシーンで、

今回の内容を最終回として描く価値は十分にあったと納得させられました。

 

それ以外にも、本来なら買えなかった麻衣(蒔田彩珠)への

一生モノのプレゼントを買ってあげたり、本来なら見届けられなかった

蓮司(杉野遥亮)による新島家への挨拶=麻衣が自立する”瞬間”だったり、

本来なら放置されっぱなしだったであろう畑の手入れをしたり、遺影を決めたり…

小学生となって再び現実世界に戻ってくる事で叶えられた1つ1つの夢が、

まるでエンディングノートに書いた目標を達成して行っているかのよう。

 

魂が巡り巡って転生するケースはあるかもしれないけれども、

本作の場合は、成仏出来なかった貴恵(石田ゆり子)が小学生に乗り移って

新島家の前に現れるという、いかにもファンタジーな設定。

ファンタジー…つまり、現実性に乏しくあり得ない設定だからこそ、

新島家と白石家を繋ぐ小さな”奇跡”にも思えたし、

現実世界で生きる私たちも、その”奇跡”で不思議と元気づけられる…

そんな作品だったと思います。

そして、上記で「最終回として描く価値は十分にあった」と書いた理由もそこにあり、

何事にも終わりがあり、人にもいつかお迎えが来るのだから、

それまではどうか後いを多く残さないように精一杯生きる事が大切だと、

新しい風がまもなく訪れる時期に、そう優しく教えてもらえたような気がします。

 

匂わせは匂わせでも、守屋(森田望智)とはどんな関係性にでもなれる

含みを持たせた終わり方だったのも、

唯一次のステージへと向かっていた友利(神木隆之介)には

あえてそっと背中を押すだけだったのも好印象。

新生活のスタートに合わせて、それぞれの幸せを願いたくなる、

登場人物の個性に合わせた描写が施されていたのが良かったです。

 

再生物語というより群像劇に偏りがちだったり、

オカルト要素を盛り込むなどして、ファンタジーの線引きが曖昧に感じられたり、

似たようなエピソードを繰り返したりと、

ここまで見てきて色々惜しい部分があったのも確かですが、

終わり良ければ全て良しかな…と思ってます。

 

絶え間なく泣かされ、かつ、ほんの少しの生きる知恵を与えてくれた、

素敵なラスト。素敵な作品でした。

また、”再生の兆し”を感じさせる主題歌のふわりとした入りも、毎回好みでした。

 

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