初回から物凄い安定感。
登場人物の初期設定の紹介を重点的にするあまりに、間延びしたり、話が進まなかったり…
今期はそんな、拡大放送に囚われてしまっているように思えるドラマを多く見てきた分、
登場人物の抱える事情を適度に散りばめつつ、スムーズに本題に入った本作は
それだけでも大分好印象でした。
安定感を感じたもう1つの理由としては…これも初期設定に関する事ですが、
「掃き溜めの部署」ならありがちな、元々、捜査一課長やSATなど
第一線で活躍してきた主人公が異動を命じられ、ファイルがいっぱい入った段ボールを
地下の新しい勤め先へと運んでいき、最初はそりが合わなくて…
みたいな経緯をばっさりカットしたのも大きいのかもしれません。
終盤にあった「お前らさ、毎回その茶番あって何か意味ある訳?」という
堀口(戸次重幸)の言葉から、きっと桜(小芝風花)と真(大島優子)の2人はこうして
数々の行方不明者を大切な人の元に帰してあげていたんだろうなぁとも察せられますし。
初回の時点で部署内での人間関係が確立されているのは、見やすくてとても良いですね。
事件というか事故?の解決方法も、捜査過程も、個人的には好みのテイストで。
こういった遺体の身元を特定する題材は
決しておちゃらけた雰囲気では描いて欲しくない訳で、
クスッと笑える箇所はほどほどに、あとは全体的に、自分の価値観と照らし合わせながら
仕事に真摯に向き合う作風だったのにはホッとしました。
「死人に口なし」…じゃないですが、当事者が亡くなってしまった以上は、
どんな想いで命を絶ったのか、どんな想いを抱えていたのかは本人にしか分からない。
だから、あれこれ考えを巡らせては、その考えがどんどん悪い方向に行って
残された者の心が傷ついてしまう前に、
誰かと一緒に考えて、ある程度”答え”が出たら一区切りにして次へ向かう…。
本当の真相が語られる事なく終わるのは、
その人への優しさでもあり、希望でもあるのかな…と思います。
ただ、初回を見てきて、懸念点も2つあります。
1点目は、先ほどの表現を言い換えれば、
事故なのか事件なのかは探らない状態で答えを導く話になるので、
解決方法自体はファンタジーに寄りやすいという所。
2点目は、桜は自殺未遂の経験があり、真は行方不明の恋人を何年も探している?
という訳ありな過去を仄めかし、思わせぶりに演出している所。
前者は”推測”の度合いが大きくなればなるほどお涙頂戴になる可能性がありますし、
後者は下手したら、失敗しがちなドラマでよく見る
「縦軸を強調したが故に、本来の設定やコンセプトが霞んでしまう」作品に
陥るんじゃないかと、ちょっと心配はしているんですよね。
今後、良作になっていくかどうかは、この2点の匙加減にかかっている気がします。
とは言え、感想を継続しても良いかもな…と思える初回でした。
それにしても、あえての褒め言葉ですが、随分日テレっぽくない仕上がりでしたね。
題材と少し真面目なトーンの雰囲気からは、
どちらかと言うとテレ朝でかつて存在していた木8枠か、
路線変更前のテレ東金8枠で放送していそうな感じがしましたし、
部署のキャスティングだけを見たら、NHKの「ドラマ10」枠みたい。
(↑ユーモアさと大黒柱感を合わせ持つ吉田鋼太郎さんが、
堅い雰囲気にし過ぎないバランサーになっていましたね。)
前期と合わせて考えてみて…もしかしたら、土9枠は正統派・真面目路線の作品にして、
土10枠は独特・奇想天外な路線の作品にして枠で差別化を図ろうと、
意識的に作られた部分もあるのかもしれませんね。
あ、ちなみに、土10の方は…様子見はしますが、
面白いネタを隠し続けていたために、途中まで退屈だったな…という感想です。
洋館に住む個性強めの面々による相続争いという内容にも、
新鮮味が感じられなかったのも原因かと(汗)
Source: りんころのひとりごと。
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