演出家が交代したからなのか、通常よりも「風間道場」特有の異様な雰囲気が薄まり、
新人刑事が活躍する刑事ドラマに見えました。
この若干の作風の違いが他の回だったら、
“連続ドラマ”としてはブレがあってどうなんだろう…?と
疑問符を浮かべて終わったかもしれませんが、
遠野(北村匠海)の登場が上手く化学反応を起こしていたような気がします。
今までの中で、物語への没入感が最も高い回でした。
今まで没入感を覚えなかった理由として…
今更なのですが、個人的には、ダークで重厚な劇伴・演出と
トンチキ寄りの事件パートの取り合わせにぎこちなさを感じていたんですよね。
SPドラマ「教場」「教場Ⅱ」の時は、「複数の学生vs風間教官」の構図で
風間(木村拓哉)の不気味なキャラクターに焦点が当たった話になっていたから
その劇伴・演出もハマっていたけれども、
連続ドラマかつ、指導官時代を描く本作の場合だと、どちらかと言うと風間よりも
“風間が指導している”新人刑事と、刑事が担当する事件に重きを置いた話になっているので、
そこが内容にイマイチのめり込めなかったのかな…?と言いますか。
しかし今回は、指導官時代のみの登場だった新人刑事2人とは違い、
遠野は「教場Ⅱ」のラストで描かれた、
風間が右目を失う現場に居合わせていた重要人物の1人でもあります。
よって、この先彼がどんな運命に遭うのかを既に知っているため、
彼の性格や刑事としての価値観が
“あのシーン”にどう繋がってくるのかを見届ける感覚があり、
そこにいつもの劇伴・演出が重なった事でより緊迫感が増して、
空気がピリッと引き締まった印象を受けました。
そして、面白いなぁと思ったのは、今回のサブタイトル「妄信の果て」のネーミングの妙。
妄信とは、劇中の言葉を引用すると「訳も分からず信じてしまう事」を指します。
表向きでは、犯人が教授の論理をそのまま鵜呑みにする意味合いで使われていましたが、
これって、刑事になる事への執着心からか、
人一倍洞察力があってヒントを探す能力も長けている遠野自身にも
かかっているようにも思えたんですよねぇ。
終盤のシーンでも明かされていた通り、彼は一見優秀な新人ではあるんだけれども、
唯一の欠点は、危機的な状況に遭遇した時に、咄嗟の対応が出来ない所だった。
刑事だろうと交番勤務だろうと関係なく、不審者には対応せざるを得ない訳で、
仕事上割と致命的な気がするんですが…
彼の今回の描写だと、自分のそんな欠点や訳ありな過去に向き合う素振りが
ほとんど見えないんです。学生時代の回想も盛り込まれていなかったですしね。
だから、あの千枚通しでの暴行がきっかけで千枚通しがトラウマになり、
刺される事態となってしまったのか…それを「果て」と掛けているのか…
とも想像させられて、中々興味深かったです。
ツッコミどころ満載の事件パート自体も、
地図の印刷時間がご都合だった所は除いて(笑)特に違和感はありませんでしたね。
まぁ…北村匠海さんの佇まいがそうさせたのかもしれませんけども。
千枚通しの犯人の名前も分かり、坂口憲二さんも登場し、
次回はとうとう”あのシーン”に触れるようで…着実に原点にも近づいていっています。
後半戦がどんな展開になるのか?ちょっとだけ楽しみになってきました。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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