回を重ねるごとに深みが増してますねぇ…。
内容の多くの割合をモノローグで占めているのが効いています。
登場人物それぞれに共感出来る所もあれば、共感しにくい所もあって。
何と言うか、極端に善人・悪人ではないどっちつかずな描写が
人間の”リアル”を引き立たせているんですよね。
例えば、楓(田中みな実)は毎日仕事に追われている事から
まさに「『心を亡くす』と書いて『忙』」の人と化していて、
新名(岩田剛典)への短文かつ素っ気なさそうに見えるLINEメッセージや、
返事が来た時の第一文で「良かった。心配した。」ではなく「仕事は?」と返す辺りに
彼女の余裕のなさが表れてしまっています。
で…陽一(永山瑛太)の場合は、昔はみち(奈緒)の作る料理なら
焦げたオムライスであろうが愛おしいと思えていたはずが、
今では自分のために、綺麗なオムライスを用意してくれた彼女の配慮にも
ちっとも目もくれない状態です。
もう十分に思いやれないのであれば、
離婚した方がお互いのためなのではないか?と思えてしまうんですが、
そんな簡単なものでもないんでしょうね。
モノローグを通して分かるのは…
陽一も楓も今の自分のパートナーへの接し方に後悔しており、
罪悪感や自己嫌悪感を抱えながら生きているという事。
つまり、夫婦生活を諦めたくない、当時のような関係性に戻りたい意思があるとも言えて、
そうなって来ると、憎もうにも憎めないんです。
少しでもその意思があるから、陽一はみちの看病で、楓は新名をご飯に誘う形で
何とか名誉挽回しようとするんですが…
人間関係というのはやっぱり複雑なもので、
優しさもタイミング次第では、相手からしたら”罪滅ぼし”や”義務感”に捉えられてしまう
終盤の展開にはやるせない気持ちにさせられました。
取り扱っている題材が題材なので、事前にスルーされた方も多いかもしれませんが。
新名も言っていたように、夫婦で体を重ねれば”愛”が証明出来るのかと言ったらそうではなく、
コミュニケーション不足で、相手の気持ちや夫婦観を理解していないのが一番の問題だと…
そんな、全ての夫婦に当てはまる悩みに切り込んだ作品なんだと改めて思います。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
コメント