「飲み込みたくないものを、飲み込まない」と意気込んで
本格的に冤罪事件へと向き合い始めた初回から、
好評を受け第2弾の制作にすぐさま取り掛かった恵那(長澤まさみ)や拓朗(眞栄田郷敦)と、
途中までは「自分たちの行為で救われた人」の存在のお陰で”強い人”でいられるといった
2人の無鉄砲さが描かれてきただけに、
今回の終盤での転調ぶりには目が離せませんでしたね。
一度ほじくったら零れ出て、原型を留められなくなってしまった
人間の弱さや愚かさが描かれたのが印象に残る回でした。
まず、恵那に関しては…正一(鈴木亮平)の前では抗えない事が
よ〜く伝わってきました。
前回に引き続き、色恋が描かれ、しかもまあまあ長い尺が割かれているので
不快感を覚えがちかもしれませんが、
あのシーンは、自分の弱さを彼の存在で埋(うず)めようとする
“逃げ”と”甘え”の象徴とも捉えられます。
彼のせいで第一線を退き、「フライデーボンボン」という
落ちぶれた者たちが集う場所へと異動させられる羽目になったのに、
彼に再び飲み込まれようとしている。
それは彼女も自覚しているけど、
目先の快楽にどうしても縋ってしまう…っていうのが何だか生々しくてリアルです。
今更なんですが、名前が「正一」なのも
彼の得体の知れなさをより増幅させているんですよね。
「正」だから「正義感」「正しい」…そんな良いイメージが先行しがちですが、
「”正しい人”のフリが得意な、登場人物の中で一番したたかな人」にも見えてしまうというか。
鈴木亮平さんは「TOKYO MER」でも体を鍛えられていましたが、
本作ではそのガタイの良さがまた異質感を生んでいて、
敵か味方か分からないけど何となく怪しい…と思わせるには
ぴったりのキャスティングな気がします。
恵那が色恋に溺れる一方で、拓朗の、同級生の自殺に向き合う事で、
自分がいかに”勝ち組”にこだわり続けた”負け組”だったか、
いかに過去から目を背けていたかを思い知らされる姿も描かれました。
恵那の前でカレーをがぶりつく様子が妙に頭に焼き付いていたんですが、
それは単純に、目の前の物事に食らいついて「何も考えないようにしていた」
彼の意志でもあったのかもしれないなぁと…。
何に負けたのかに気づいてしまった以上は、もう過去の出来事も、過去の自分も
黙って見過ごす訳にはいかなくなった。
今回の件で、拓朗は冤罪事件に関わらざるを得なくなったと思っているんですが…
1つのターニングポイントを迎えた所で、次回以降、彼をどう描いていくのかが気になります。
で、ここまで見てきて一番予想外なのは、
最初はセクハラパワハラしまくりのすんごい嫌な奴に描かれていた村井(岡部たかし)の
好感度が上昇してきている事なんですよね。
上司の反対意見が多い中で「やってみたら?」と言ったり、最後まで流すのを許可したり…
彼は案外裏表がない。
鼻水を垂らすほど泣いた拓朗の人間臭さを引き出したのも彼なんだから、
中々凄い存在だと思わされます。
でも…今では裏表なく部下に接しているものの、彼もまた恵那や拓朗と同じで、
“何か”に負け続けた1人の人間でもあるんでしょうね。
1つの冤罪事件をきっかけに、
恵那も拓朗も…もしかしたら村井も?本質的には同じ人間である事が明かされた今回。
あれだけ目力目力と言われていた拓朗が、死んだような目を向けたシーンにゾッとしつつ、
衝撃のラストで終わる。
体つきからして、「元彼」だったんでしょうかね?
いやはや…ある意味”第2章”スタート回とも言える次回が楽しみです。
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Source: りんころのひとりごと。
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