私が見てきた出演作が恋愛モノが多かったのもあってか、
今までは福士蒼汰さんの演技を拝見しても、あまりピンとは来なかったんですが(失礼)…
初めて「良いな」って思えたのが、2020年秋クールに放送された「DIVER」だったんですよね。
しかし、今回の内容を見ると、本作が一番の代表作となりそうです。
これからしばらく、本作での福士蒼汰さんの演技が味わえるのか!と
嬉しくなってしまう回でした。
福士さん演じる有功の話す言葉は京言葉。
これがまた、終盤のシーンとのギャップで、見応えが増してくるんですよねぇ。
京言葉だからもちろん、柔和で育ちの良さそうな印象を持たせるんですが、
それを清涼でキリッとした顔つきの福士さんが話される…っていうのが魅力的で。
「僧侶上がりだから上様など守れるはずがない」「打たれ弱いに違いない」などと
三人衆に揶揄されるという”前提”を作ってから、
実は負けず嫌いで、内に秘めたる闘志の持ち主である事が判明するまでの逆転の展開に、
佇まいや演技が見事にリンクしていた気がします。
特に電流が走った感覚を覚えたのは、剣の振りを1000回まで続けた時の気迫が宿った目。
大奥に入ってしまった以上、運命はどうにも変えられないという遣る瀬なさや、
自分を勝手に側室にし、二度と元の日常には戻れなくした事に対する怒り、
そして、こんな所で心折れてたまるか!という覚悟と粘り強さが
あの目つきにぎゅっと詰まっていて、今その場では恐ろしくて到底近づきがたい、
只者ではならない雰囲気を感じさせたのが良かったです。
何と言うか…もう、”名演”でした。
派手さはなくても、有功同様、一本の太い芯が通っていると感じさせる劇伴とその入れ方、
暗闇の空間からやっと一筋の光が差した(=1000回到達するまで見守る監督)、
有功自身の葛藤を投影させたような演出も、彼の人となりを魅せるには効果的でした。
また、有功の”気迫”に対抗して、春日局(斉藤由貴)から滲み出る”毒気”で、
2通りの緊張感を終始漂わせていたのも面白かったです。
斉藤由貴さんに関しては、三白眼なのが効いてましたね。
あの目で睨む事によって、執念や怨念が自分自身にもまとわりついて
逃れられなくなってしまいそうな粘っこさを感じさせました…。
一方で、堀田真由さんは、将軍姿でも隠しきれない女性らしさがミソですね。
本来男性であるはずの将軍をなぜか女性が…という、有功の覚えた違和感に
しっくり来ていた気がします。
冒頭の春日局のシーンをきっかけに、陰鬱とした展開が続きましたが、
終盤で渡された猫が唯一の癒し要素となるんでしょうかね?
まぁ、内容が内容だけに、より容赦ない話になる可能性はありますが…次回も楽しみです。
月並みな表現になるのですが、
いやはや、脚本・演出・演者による三位一体(劇伴も含めて四位一体?)とは
まさに本作のような作りだと思わされますね。
視聴前は、期待度をなんで通常の星★3つにしていたんだろうと、
早くも思い始めております(笑)
(まぁ…原作もTBS版も知らなかったっていうのもあるんですけども。)
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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