社員も増え、以前の活気ある状態に戻れた「アトムの童」…
あれ?私、1話分見逃してた??と思うくらいのペースの速さですね。
興津(オダギリジョー)が猫みたいにシャーっと吠えていた
前々回のラストが嘘のようです(苦笑)
裏切ったり寝返ったりの繰り返しに、「組織vs組織」の構図、
官僚・銀行・株主といった”お金””権力”にまつわる設定を盛り込んでのマネーゲーム的展開と、
回を重ねるごとにゲーム版「半沢直樹」になっている本作ですが、
(いや、もうゲームもアクセサリー代わりにしか使われていないかな…(汗))
逆に大ヒット作の足跡を追う作風にすればするほど
作り手と視聴者の求めているものに大きなズレを生じてしまっている気がするんですよねぇ。
もっと簡潔に言えば、アップダウンの展開で面白い”風”に見せているだけで、
それに描写が釣り合っていないというのか。
中でも、個人的に違和感を覚えてしまったのは、那由他(山﨑賢人)と隼人(松下洸平)が
ゲーム開発者の勤めるシアトルの会社に転職を決めた件。
え〜っと…この前までは、5000万円でかつてのアトム玩具の土地を買い戻すほど
「アトム玩具のみんなで作るゲーム・おもちゃ」に強い思い入れのある2人だったのに?
イベントで会って間もない相手の所で一緒に働こうってなるの??
そう感じる理由は単純で、”過程”が圧倒的に不足しているから…なんでしょうね。
話の前後が繋がるように物語を進めていない限り、
残念ながら、「そろそろ次のステージに進むべきなんじゃないか?」という台詞だけでは
とても補う事は出来ません。
「次のステージ」って言うけど、今はどんなステージに立っているのか?
そういった”過去と比較した現段階での””ゲーム業界においての”会社の地位が
明確化されていないのが、あのシーンを見て、腑に落ちない気持ちにさせたのだと思っています。
そして、急に助けを求める側になった興津(オダギリジョー)も同じです。
口約束じゃなくてきちんと契約書を交わして!はもちろん、
切羽詰まっている割には、髪型がほぼ乱れてないのもどうなのかな…
というツッコミもそうですが(苦笑)
「納得行かない」「まだ胡散臭い」と視聴者に思わせた件も、
“数年間”が端折られたが故に起こった弊害な気がします。
ゲーム制作をしていく上で、「会社を守るため」と言いながら
汚いやり方で技術を横取りしてしまった後悔や罪悪感みたいなものが
興津から時折垣間見えるように描かれていれば、
彼の人間臭さも増して、頼み込んでくるのにもちょっとだけ同情出来たんじゃないかと
思えてなりませんでした。
那由他と隼人が興津のせいで(笑)別れたラストシーンにしても…
インパクトを重視した作風からするに、
どうせまた時間経過させて、また数年間をやんわりと描いた上で
「eスポーツ制作で幅を広げた那由他」と「新技術を学んだ隼人」が合流して
感動展開をやるんだろうなぁと思っているので、あまり衝撃もありませんね。
仲間割れ、買収…新章突入してから第1章での内容ををなぞるような話が
続いているっていうのを考えれば、再々合流があったって不思議ではないですからねぇ。
本当に、那由他の考えのブレなさに、何とか救われている感じです…。
彼の決断や行動は基本「ゲームの未来と発展のため」から来ているから
あそこで1人だけ興津の意を汲んでくれたのも頷けますし、
山﨑賢人さんの純真な佇まいで、やっぱり、那由他の進む道を、那由他の見る景色を
一緒に見てみたくはなるんです。
あ…でも、今回で唯一良かったのは、社内に興津が入ってくるシーンですかね。
その瞬間をスローモーションで撮った事で、
乾いた土地に水という異なる性質が混ざり込む…というゾワッとした感覚を生ませていたのと、
「アトム=土地」と「興津=雨」で敵対関係を暗喩的に表していたのが、
中々洒落ていて面白い演出で。
黒い傘を差していたのが興津から隼人に変わったのも、「那由他との関係性の変化」を
感じさせて、そこも上手かったなぁと。
演出や役者さんは申し分ないんですけど、その分、脚本の粗さが目立つのが残念ですね。
前後編で何とか盛り返して欲しい所ですが…。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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