拾われた男 7話 感想|兄も"拾われた男"だった…。

ドラマ
 

 

“兄弟”をあらゆる角度から描いた回でしたね…。

 

いつも「一枚上手な兄に負ける」人生を送ってきた諭(仲野太賀)。

それは15年以来のアメリカでの再会でも健在でした。

脳卒中による後遺症、諭と同じく仲間に恵まれた人生、活躍する弟への想い、不法滞在…

自分の知らない兄の顔を一気に吸収しなければならない上に、

介護をしながら兄が遠のいて行くのを覚悟せざるを得ない状況に立たされる。

結局、武志(草彅剛)に追いつく事は一度もなさそうで…。

夢で見た自転車でのエピソードの挿入が、

武志との縁を切り、役者業が軌道に乗り出したからと言って、

「先に行こうとする兄」と「兄に追いつけない弟」の関係性は

一生涯揺らがないのだというのを物語っているようにも映りました。

 

諭が山村社長(薬師丸ひろ子)にスカウトされ、今ではすっかり有名俳優になったように、

武志もカラマズーの人々に愛され、雇ってくれたカフェでコメディアン的人気を博していた。

節々で共通している所はやっぱり、

子供の頃から行動を共にする事も多かった、血の繋がった”兄弟”らしいなぁと思わされます。

しかし…唯一違っていたのは「落し物に気づいたかどうか」。

諭は飛行機のチケットを拾い、武志は学費の入った封筒を拾い忘れたのを機に

運命を大きく変えてしまう。

回想も交えながら、初回からずっと”兄との確執”を描いてきたのがここで効いていて、

2人は表裏一体なのだと思わせるには十分に説得力のある内容だった気がします。

 

舞台も内容の方向性も変わるとなると、別ドラマに見えがちではありますが、

序盤で描かれた「おばあちゃんからもらった外国のお土産」が

今回のフックとして扱われていたので違和感も覚えません。

そして…武志のためにアメリカに行ったつもりが、結(伊藤沙莉)の予言の通り

内心では浮かれてしまっている諭の”変わらなさ”にもちゃんと触れていたのが、

シリアスな雰囲気が続く中で安心材料にもなっていました。

美人の看護師に飛びつく素振りを見せたり、

看護師にはそのまま握らせておいて、竹村(黒田大輔)が手を握ろうとしたら避けたり…

分かりやすい彼の様子に、今回も「おいおい!w」ってツッコませていただきました(笑)

 

ウォルト・ディズニー・ジャパンとの共同制作だからか、

アメリカの街並みも存分に見せてきて、外国人のキャスト陣もしっかり用意して…で

流石のスケール感でしたね。

そして…草彅剛さん、やっぱり素敵な役者さんだなぁと改めて。

本当に臭いが画面越しに伝わってくるような、気力の抜けた現在の姿と、

ムードメーカーとして活き活きしていた過去の姿の演じ分けが、

武志の人生において最も尊かったであろう”あの頃”を浮き上がらせているようで、

人物像を構築する丁寧な演技に、自然と涙してしまいました。

草彅さんの演技って何と言うか…

「役を演じる」じゃなくて「登場人物に命を吹き込む」感じなんですよね。

久々に堪能出来た事が嬉しいです。

 

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Source: りんころのひとりごと。

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