30分という決して長くはない放送尺なのに、1パッケージとしてまとまりがあって、
その時間内での展開の仕方・惹きつけ方をちゃんと分かっている作品だなぁ…と
つくづく思わされます。
何を中心に見せて行くのか、どのくらい要素を入れたら
情報過多や駆け足にならずに済むのかが、引き算しつつ工夫されていると言うのか。
今回まで見てきてようやく気づいたのは、物語の軸が基本的に
・今まで”可愛い”で通してきた自分の魅力が、30年後の自分との出会いをきっかけに
徐々に失われ始めている事に恐怖を覚える
・”自分の外見”に自信がなくなっている円谷(山田涼介)と、
“自分らしさを出す事”に自信がなくなっている和泉(芳根京子)が
お互いにかけた何気ない言葉や真逆の発想が大きな影響をもたらし、後に恋愛関係に発展する
の2点に絞られているだけでなく。
たまに個性的な登場人物を集めたドラマでやりがちな
途中で脇役のエピソード(例えば、脇役同士での恋愛匂わせなど)を挟んだり、
訳ありな過去を思わせぶりにチラつかせたりして話の腰を折る訳でもなく、
背景から「自分はこう生きてきた」をしっかり踏まえた上で
あくまでも”現在進行形の変化”を描く作りになっている事。
要は、2人が中心の物語である事にブレを感じさせないのが良いんですよね。
だから、ラストでは円谷が和泉に特別な感情を抱くようになるのも、
「バイアス」演出や前半のコロッケのくだりなど、
彼が自分の中で何か考え方が変わる新たな気づきがあったと
確実に伝わるカットが挿入されているお陰なのもあって、自然と納得出来るんです。
そして、一貫性が保たれた中で展開されていく内容の振り幅が、
コメディだったり、王道のラブコメだったり、時には人情モノだったりで
大きく変わっていくので、30分間とにかく飽きが来ないしあっという間。
今回なんて、コメディ→偶然から始まる恋愛匂わせ→どコメディ→ほっこり可愛い で
合間にインパクト大なコメディエピソードを挟んでくるので、
もうそれがジェットコースターのようで惹かれて見てしまってました。
元カノに2人が急接近した(ように見える)のを見られたあのシーンだけなら、
胸キュンよりも、個人的には「なんでそうなる!?」というあり得なさの方が勝って
引き気味で見てしまうものでも、
その後に発した和泉の言葉がいかにも勘違いされやすいぶっ飛んだ内容になっていて。
王道のくだりでも笑いに変えてくれる台詞回しも、センスがあって好きなのです(笑)
「もみ消して冬」で山田涼介さんのコミカルな演技をお見かけした時は、
正直「頑張って演じてます!」感漂う、少し力んだ印象があったんですが。
本作ではその演技をもう自分のモノにしている感じで、
早口も顔芸もナチュラルに、リラックスした状態で演じ分けされている所も、
ラブコメである本作のキレに拍車をかけている気がします。
そして、ある意味2人で作ったオリジナルコロッケのくだりも、
お互いの人柄が滲み出ているようで、心が温かくなりました。
1時間のドラマでは過去にあったけれども、
30分という短さでいろんな感情にさせられて
2人の行方も見守りたくなるラブコメって、あまりなかったのではないでしょうか。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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