ああ…ちゃんと”連続ドラマ”してるなぁ…と。
医療編になってから、青沼(村雨辰剛)に黒木(玉置玲央)、
源内(鈴木杏)に意次(松下奈緒)、五十宮(趙珉和)、伊兵衛(岡本圭人)と、
蘭方医を学び人痘接種の実験を重ねる者たちの背景を掘り下げてきた訳ですが、
群像劇仕立てにした甲斐のある、実に見応えのある内容でした。
前回の感想は結局飛ばす事にしたので、そちらの内容にも触れるとして…
前回では、家庭絡みで事情があって虚しさを抱えていたものの、
青沼との出会いをきっかけに仲間が出来、一緒に勉学に励んで
日常が輝き始めた旨を語る五十宮の心境が描かれました。
私から見ても、大勢が集まり、同じ1つの目標に向けて研究を重ねる姿は
まるで一種の青春のようにも思えたんですね。
そして、五十宮の死後、みんなは目標達成すべく、決意をより強く固めます。
で、今回では、男性陣の仕打ちにより梅毒にかかってしまった源内の悔しさや、
人痘接種の説明をしても理解を得られない苦しみ、
大災害が起きて世間が一変し、不満の矛先が意次へと向かう理不尽さといった
暗く悲しいエピソードを立て続けに描く事で、
伊兵衛が自ら実践してみたのを機に(ここ、胸熱展開でしたねぇ…)
人痘接種が周囲に認められるようになるという大きなカタルシスが生まれました。
このシーンで自然と盛り上がる劇伴が流れたのもあって、
ここから兆しが見え始めるんじゃないかと、ちょっと期待していた自分もいたのです。
でも、前作を見ていれば分かる通り、
そんな簡単にハッピーエンドにはならないのが本作なんですよね…。
先ほど書いた数々のエピソードの途中に、
上様にお茶を飲ませた青い着物を着た女性が(お2人とも、役名と役者さんが誰か分からず…)
後で漢方医・灰谷(山下容莉枝)とアイコンタクトをとるシーンがあり、
ん?何?という胸がざわざわする違和感は覚えたんですが。
話が進むにつれて、意次を引き摺り下ろし、次世代の上様候補を消して
自分の可愛い息子を将軍に出世させるための治済(仲間由紀恵)の計画だったと
最後に知った時には、感情が一気に揺れ動かされるようでした。
終盤、晩期の源内に「もしもの世界」を黒木が語ってからは、
今まで尽くしてくれた源内に良い報告が出来なかった、
人痘接種も蘭学医も浸透する世界を実現出来なかった
彼の悲しみの感情を表しているかのような雨が静かに降り始めて。
それから、治済と定信(安達祐実)が一緒にいる様子と
交互に映しながら理不尽さを際立たせ、
今度は雨の他に、怒りの感情ともとれそうな雷が加わるようになる。
起承転結の”承”と”転”で魅せるための畳み掛けが丁寧に行われたからこそ、
魂の叫びなのが伝わる「あまりにも理不尽ではないか!」という黒木の言葉は
まさしく現実の残酷さが色濃く映し出されていて、
涙なしでは見られないシーンに仕上がっていたと思います。
いや〜それにしても、仲間由紀恵さんは本当に適役でしたね。
静かな笑みを浮かべ、何か含みを持たせた台詞を言わせて
ピリッとした空気を漂わせるにはピカイチの女優さんです。
なので、治済というキャラクター自体は恨みたくもなるんですけど、
仲間さんがご登場されるだけで、テンションが上がってしまうんですよねぇ。
また、大人たちの悪巧みに振り回されたのを実感する、上様の絶望感を覚える姿は、
意図せず女将軍の運命を背負う事になった家光と重なりましたし。
青沼が死罪に遭うシーンは、初回の水野のような奇跡は起こらなかったか…と
切なくもなりました。
次回からは、治済の望み通りに将軍になった家斉(中村蒼)の時代が描かれるようで。
次回予告では「母上の操り人形」だと本音をこぼしていた辺り、
またしても激動の展開になりそうです。
↓11話の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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