ビルが並ぶ景色や、タイマー機能付きの信号は
他のドラマでは普通に見慣れているはずなのに、
本作で映し出されると凄く異質な感じがするのは……
もうそれだけ、島で描かれる物語に惹きつけられてしまっているって証拠ですね。
今回は帰京回。
よって、舞台が東京と島で分断された事で
どうやって話を紡いでいくのかが気になっていたんですが…
子供たちが清舟(杉野遥亮)との微笑ましい思い出を
自由に語る展開を持ってきたのには、なるほど!と思わされました。
コマの飛ばし方を教えたら、誤って家の方向に飛ばしてしまい
ガラスを割って怒られてしまった話。
「絵画は書道に通じるものがある」と得意気に言って描いてもらった絵が
小学校の低学年みたいな絵だった話。
泣いた時の清舟の反応をこっそり楽しんでいた話。
謙太郎(加藤叶和)が語ったのをきっかけに、
他の人たちも、自分と清舟しか経験していない出来事を共有して場が和み始めたり、
話を聞いていたなる(宮崎莉里沙)が後悔の言葉を口にしたりするあの一連のシーンは、
彼らにとって清舟がいかに、当たり前の日常に彩りを添えてくれる存在だったのかを
物語っているようでした。
その想いは、清舟も同じで。
彼の場合は…作品を書く”原動力”でもあり、
自分が自分らしくいられる”支え”にもなっていたんですね。
「型にハマった字」から脱出するために島に行って、
そこで今までの自分とは違う作品を生み出せて、無事に一皮剥けた…では終わらず、
今度は、東京では同じ作品は書けないのではないか?
それって”自分の作品”とは言えないんじゃないか?という事に悩まされていたものの。
子供たちと電話をしてからは、
張り詰めていた糸がプツッと解れたかのような笑みを浮かべていたのが印象的でした。
清舟からしたら、もはや可愛い妹&弟みたいなものなのかもしれません。
また、今回の作品は「石垣」だった訳ですが、
それを思いつくまでの回想の重ね方も素敵だったと思います。
「いつの間にか、帰りたい場所になっていた」から始まる清舟のモノローグとともに、
1話でなると見た夕陽…2話でのゼッケンを着用した子供たちが走る光景…
3話での魚が釣れなくて笑った”あの頃”…今回の「待っちょっけんね〜!」…
で、トドメは、4話での石を積む作業が結構得意だと気づいた自分…と、
これまでの象徴的なシーンを、段階を分けて見せていく演出は
まさしく「石を積み上げて作った壁」を意味する「石垣」そのもので。
彼があの作品を書いたのも納得いくものになっていました。
インパクトと華やかさで言えば正直、前回の「星」の方がありますし、
今までの作品もそうだったのですが…
ある意味”感謝の手紙”のつもりでもあったのでしょうね。
「新しい自分」を表現してきた数々の作品とは打って変わって、
想いを書にしたためたかのような作風。
東京でも作品が書けた事で、自分の成長を実感します。
そして、「島でしか斬新な作品が書けない」のではなく
「島の人々の存在が創作活動の励みになっている」と知った清舟が再び島に帰ろうと決意する…
ターニングポイントには相応しいお話でした。
母・えみ(長野里美)の反対で終わったけれども、次回からは新章突入だそうで…
予告を見てみると、ヤスば(鷲尾真知子)に何かが起こりそうな気配が
漂っているのが気になりますね。
途中、育江(田中みな実)と病院でやり取りするシーンが盛り込まれたので、
なんでだろう?とは思っていたんですが…
そこでの会話が前フリになってくるんでしょうか。
とりあえず、ちょっとだけ覚悟しながら見てみます…。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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