はっきりしろ!とツッコまれるかもしれませんが…
正直、面白かった訳でも微妙だった訳でもなく、
「分からない」というのが、初回を見ての感想です。
というのも、良かった所もこれはどうなの…?って所も、どっちも感じたから。
まず、前者について具体的に書くとするなら…
もう音楽の道には行かないと決めていた主人公が
児玉交響楽団に加入するまでを描く上で欠かせない「なぜ第一線を退いたのか?」を、
思わせぶりな描写も、回想を何度も映しての情報の小出しもせず
初回から惜しみなく明かしてくれたのには、潔さがありました。
この手の題材なら特に、初回は主人公の心情変化にフォーカスを当てて描く事が
大事だと思っています。
平穏に過ごしている中でひた隠しにしてきた本音や等身大さが見えて
初めて応援したくなるものだと思うので、その点では成功していたんじゃないでしょうか。
そして…楽団のみんなの「音楽って楽しい」という”心の動き”を描いてきた所も。
次回以降はどうなるかは不明ですが、あのやる気のなさそうな面々だと
ニューカマーが入ってきた事で空気が変わって、それによる衝突とか仲間割れとか、
ギスギスしたシーンがしばらく続くんじゃないか…と危惧していた部分もあったので。
あの演奏シーンでとりあえず、音楽をやってみようと思った”原点”みたいなものは、
弾き終わった後の初音(門脇麦)やみんなの表情から感じ取れたのには安心しました。
じゃあ今度は、これはどうなの…?って所についてですが。
う〜ん、何と言うか、「ポンコツ」の描写や人物描写が
全体的に過剰気味なのは否めないんですね。
過剰じゃなくて過剰”気味”なので、この人はこう感じたのね…くらいの軽い気持ちで
読んでいただきたいのですが…
ざっと箇条書きにするなら、
①序盤のファミリーコンサートでの子供の態度が悪過ぎ
(演奏に緩急がなくて惹かれないから、退屈でゲームをしているか、寝てしまったか…なら
まだ分かるけど…ポスターを何人かの子供が踏んでいくくだりも必要?)
②プロの楽団の態度が悪過ぎ
③プロの割には演奏を下手に描き過ぎ(中学の吹奏楽部の方が数倍上手いのはこれいかに…?)
④急に演奏が上手くなり過ぎ
⑥でもって後半は大人しくなり、最後にはニカッと笑顔。キャラ変し過ぎ
こんな所でしょうか。
この中でも特に気になったのは、②と④について。
「かろうじてプロ」と言われようが、一応、それを仕事にして
お金もきちんともらっている立場な訳ですよね。
遊び感覚で、ほんの軽い気持ちで楽器を触り始めただけで
本業にしようとは思っていない人や、「未経験者も参加OK!」のビラにつられて
参加してみた人が集まったサークルが、
都市開発計画により急遽”プロの楽団”に仕立て上げられる事になった…という導入があれば
あのやる気のなさもまだ理解出来ますが、
最初からプロの楽団だと設定づけられているとなると…
プロなのに、なんでそんなに音楽が楽しくなさそうなの?
そもそもなんで所属し続けてるの?っていう、変な疑問が湧いてしまうんです。
で…演奏が下手なら下手で、そこから応援したくなるように
段階を踏んで上達具合を描いていくんだったら良いんですが。
初音の絶対的な存在感と、生まれ持った才能を表現したかったのかもしれませんが、
彼女の演奏に合わせて弾き始めた途端、
音に急に一体感・立体感が生まれるというのにも違和感を覚えました。
そんなに劇的に変わるもんなのでしょうか?
私としてはイマイチ現実味が持てなくて…
そのシーンで純粋に胸を膨らませられなかったのが残念でした。
あ…あと、やっぱり⑤にも触れておきたいですかね。
初音が楽団への参加を拒む理由を聞かずに、ストーカーのようにしつこく追いかけ回して、
最後は父・修介(生瀬勝久)に頼んで、彼の勢いで半強制的に参加させるというのは…。
ドラマではお馴染みの「ひょんな事」でも、
これだけ個人の要望を押しつける描写が続くとなると、
「フィクションだから」では到底消化出来ません(泣)
朝陽自身も、父に勝手に仕事をキャンセルされ、家も売られて
止むを得ず今の仕事を受け持つ事になったという流れだったために、
こっちもこっちで辛いものがありました。
なので、前半部分はあまり楽しめなかったなぁ…と。
最後に、懸念材料として書いておきたいのは、
“敵”の存在を主軸にどう絡めていくか?って所でしょうか。
というのも…事前に予想していた通り、「立て直しの物語」という意味合いでは、
根本的には前期の「ファーストペンギン!」と同じ内容ではあるんですよね。
その作品は、根っこは悪くなかったものの、黒幕との対立や仲間割れ、嫌がらせ描写で
本題からどんどんズレていった勿体ない感じで終わってしまったので、
本作も二の舞になってしまわないかどうかは、少しだけ不安でもあります…。
まだ楽団との関わりを見せていない状態ですから、どんな方向に転ぶかも分かりません。
言い換えれば、敵の介入の塩梅次第で、本作の面白さも決まってくると思っています。
そんな訳で、しばらく様子見するしかなさそうです。
Source: りんころのひとりごと。
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