嬴政は桓騎の「この場での斬首」を命じました。
直前に割って入った摩論による説明も十分なものとは言えず「他に本当に方法は無かったのか」と問われます。
そこでキングダム698話にて桓騎が横槍を入れて王に対してありえない発言。
「今この世で一番殺しているのは秦王」
各国の侵略を始めて、中華統一を行おうとする存在です。
これは事実であり、血の大業と呼ばれるもの。
桓騎の言っていることは何の間違いもない事実であり、これをどう受け止めるかが嬴政の言葉で語られます。
元より昭王も長平の戦いで四十万を生き埋めにしながら斬首にされてはいません。
史実も考えながら見ると桓騎への罪状は「六大将軍の剥奪」や「大将軍の一時的な剥奪」などに済むの可能性もあります。
場合によってはお咎めなしもあるでしょう。
一番列国の滅亡に関係する武将
王賁は史実で四国を滅ぼす
流れる血を決意していた嬴政
桓騎の放った言葉は嬴政にどう感じさせるのでしょうか。
眼前で起こった大虐殺が問題なのは分かります。
しかしすでに李牧との対話で「血を恐れない」ことについて言及していた嬴政です。
血を恐れるのなら帰って王に完全降伏を上奏せよとまで言った嬴政です。
この発言の前に李牧は言っていました。
国の存亡に関わる最終局面に近づく時
~中略~
血で血を洗う凄惨な戦が待っています。
統一後の理想の世などそこで倒れていく者達に何の慰みになりましょう。
流れる血も大量の死も紛れもなく悲劇です!
-李牧-
(キングダム45巻)
桓騎の行なった大虐殺が嬴政が思っていた戦の形でないことは確かです。
しかし列国から見れば秦王と桓騎のどちらが恐ろしいか。
それは明白なものと言えるでしょう。
国を武力を持って滅亡を目指す王が放った六大将軍の存在。
秦王は脅威でしかなく、恐ろしさも甚大なものであるはず。
桓騎大将軍は言ってみればその中の一人に過ぎない訳です。
これから更に多くの血を流して滅亡にまで追い込もうとする嬴政の存在、桓騎は改めて覚悟を問うたとも言えます。
史実で桓騎は死ぬ
桓騎は李牧に殺される
四十万を生き埋めた白起はどうなった
キングダムの秦国における旧六大将軍の筆頭。
それが白起であり、春秋戦国時代における優秀な武将の一人として非常に有名な人物です。
その功績はとんでもないものであり、連合軍に対しても数々の勝利をおさめる化け物将軍でした。
しかし戦の中で多くを斬首したり、沈めたり、史実でも長平の戦いにて数十万を生き埋めにしました。
この生き埋めが遠因で昭王に自害を命じられる結果となる白起です。
ちなみに歴史で見た時の白起の功績を有名なもので並べると恐ろしいほどなので一度おさらいします。
他にも小規模のものを含めるととんでもない功績を残してきた白起です。
楚との戦争において大規模な勝利をおさめた、この時点での唯一の武将と呼べる存在。
しかし長平の戦いが遠因で最終的には自害する末路を辿っていきます。
最初の楚の攻略は失敗する
信と蒙恬は楚の項燕に大敗
白起の末路を史実で見る
桓騎とは意味合いが違っていますが、キングダムにおいても白起の長平での数十万生き埋めは有名なものとして語られています。
嬴政もその怨念を受けて幼少期に趙での悲惨な境遇を生き延びました。
史実における白起はこの長平の戦いによって当時の宰相であった范雎(はんしょ)に嫉妬されます。
あまりの功績に自分の地位を脅かす存在だと感じられて、長平の戦いから一気に趙を攻めるはずだった白起を尻目に趙と和議を結んでしまいました。
この状況に白起は不信感をあらわにします。
そして翌年に大規模な邯鄲包囲を実施した秦国。
最初は王陵を将軍にしていましたが、増兵して総大将を名のある王齕にします。
王齕はキングダムでも六大将軍の一人として名が上がっている人物。
しかし趙の滅亡の憂き目に列国からの援軍が入ります。
魏の信陵君と楚の春申君です。
これによって王齕軍は大敗を喫することになりました。
ここで昭王は白起に出兵を命じますが、断ります。
范雎(はんしょ)に対しての不信感があったからですが、自害の原因を作ることになりました。
昭王自ら軍を率いて出ていきますが、邯鄲を陥落させることは出来ませんでした。
更にここで白起は敗北した王齕を批判する愚に出てしまいました。
これによって心象を悪くしすぎた白起。
結果的に昭王は白起の自害を命じます。
白起は死に際に「なぜ自分が死ななければならないのか」と嘆いたとされています。
ただよく考えてみると「長平の戦いでの降伏兵の生き埋め。これが天に対しての罪だったのだ」と死んでいったとされます。
圧倒的な強さを誇った白起の死は国中で嘆き悲しまれたと言うのが史実です。
ただ見ての通り「長平の戦いにおける生き埋めが直接の原因」ではないということです。
その時点では斬首などの罰どころか大功績の一つとして見られているのが分かります。
でなければ范雎(はんしょ)が立場を脅かす存在だと思うはずもないでしょう。
桓騎とは違う理由で兵糧が足らなかったことが原因での生き埋めです。
更に言えば少年兵二百余りは生き埋めにしていないので最低限の情けはかけています。
それでも今の桓騎の立場から考えて、白起よりも残酷なことをしたと言えるのかで見れば首を傾げざるを得ません。
春秋戦国時代の最強武将
王翦の強さは史実にあり
桓騎不問もあり得る
白起の史実は結果的に大虐殺が自害に至る経緯を招いたことになります。
但し理由は全くの別で罰ではなく大功績を疎まれてからの不信感が呼び込んだ不運です。
長平の戦いそのものは大功績として認知されているのです。
桓騎もこの後に李牧に殺される史実がありますが、それを思わせる対比構造。
但し、この時点でのキングダム699話における処遇はどうか。
「この場で斬首」から桓騎の一言で気付かされた部分もあるはずです。
李牧のこの願いを拒否してまで覚悟を報せた嬴政。
今一度自らが行おうとする血の大業を思っているのかもしれません。
やはり嬴政の中にもどこかで完全に理解していない部分があったとも取れるでしょう。
確かに綺麗な勝ち方が出来ればそれが理想と言えます。
しかし理想は理想であり、そんな上手くことが運ぶはずもありません。
今ここで桓騎大将軍という強き武将を斬ってしまえば中華統一の速度が落ちるのは明白です。
そもそも扈輒すらも六大将軍を三人犇めかせて取り切れなかった現状がありました。
今回の桓騎がいたからこそ、進軍が可能になり邯鄲の喉元に届く結果を得たのでしょう。
それらを考慮すると、今回の大功績と大虐殺が一つのバランスとなって機能し、桓騎の不問も有り得ます。
状況次第ですが、六大将軍の剥奪や大将軍の剥奪などの咎はあるかもしれません。
もしくは翌年になる桓騎大将軍の最期の戦まで幽閉や軟禁に近い状態の罰を受けることも考えられるでしょう。
桓騎の一言からどういった決断をするのか、嬴政の判断は中華が見守る重要な一幕となります。
少なくとも嬴政の中でもまた何か違った覚悟が芽生えるのは間違いないでしょう。
※キングダム699話はヤングジャンプを確認出来次第、改めてネタバレ含む考察を行います。暫くお待ち下さい。
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Source: マンガ好き.com
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