『キングダム』の第809話では、南陽という地が秦国と韓国の未来を占う試金石となる重要な場面が描かれています。
このエピソードでは、秦国から派遣された上級文官の剛京と、秦の大将軍である騰の意見が真っ向から対立する様子が印象的でした。
それぞれの主張には戦略と理想が交錯し、南陽を舞台にした統治のあり方が問われています。
まず、剛京は、南陽の元城主である龍安を戦争行為の罪で斬首するという命令を出しました。
その理由として、彼は龍安が韓の王都・新鄭に向けて南陽の軍を送ったことが戦争行為に当たると主張しています。
さらに、剛京は城主を生かしておけば反乱の火種が消えず、秦と韓の間で内乱が生じる可能性があると考えています。
斬首することで「虚しい血」を見なくて済むとし、秩序の維持を最優先とする過去の統治の基本に立ち返ろうとする姿勢が伺えます。
一方で、騰大将軍はこれに強く反対し、龍安を生かすべきだと主張します。
彼は、龍安が南陽を無血開城したことを挙げ、戦争行為には該当しないと考えています。
また、騰大将軍は「戦争の自由」だけでなく「戦争の責任」も伴うという考え方を示し、韓の民と秦の民が共存できる理想郷を南陽に築くことが、他国の民に対して戦争の意味を伝える手段になるとしています。
南陽が韓を滅ぼすための重要な拠点である以上、ここでの統治方法が今後の戦いに大きな影響を与えるという考えに立脚しています。
この二人の意見は対立し続け、解決の糸口が見えない中、騰の軍長である隆国が調停に乗り出します。
隆国は、剛京と騰大将軍の序列が明確でないことを指摘し、最終的には朝廷側の指示を仰ぐべきだと提案します。
この提案により、一時的に両者の対立は和らぎ、剛京も騰も隆国の提案に従うことにしました。
最終的には、南陽の城壁に再び秦と韓の旗がたなびくことになり、これは騰大将軍の意見が通ったことを意味しています。
この結果、南陽は滅ぼされた韓の民と秦の民が共存する新たな秩序を築く地となることが決まりました。
南陽がそのような理想郷としての試金石となることで、戦争の意義や秦国の統治方針がより明確に示されることになります。
剛京の強硬な主張と騰大将軍の理想主義的な考え方の対立は、単なる権力争いに留まらず、南陽という地を巡る統治の在り方を問うものでした。
秦国が韓国を滅ぼす過程で、その後の統治の正当性をどのように示すか、また他国の民とどう共存するかという問いに対して、南陽はまさにその答えを示す場所となります。
騰大将軍が掲げる「戦争の責任」という概念は、今後の秦国の戦略において重要な役割を果たすことでしょう。
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Source: マンガ好き.com
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