3話の刑事・平川(安井順平)が再登場。
拓朗(眞栄田郷敦)に協力を申し出てくれたので、どういう風の吹き回し?と思ったら…
まぁ〜〜嫌味な男性に描かれていましたね。
組織が一度でも不正を起こせば崩れるという事も、
聞かない考えない話さないの思考停止の日々を送り続けていた事も自覚しつつ、
本人はあくまでも自己保身に走る。
おまけに、開き直って偉そうな態度をとる。
でも、分かっちゃうんですよね…組織の中にいながら
「自分は周りとは違う」「自分は正しい」と思い込みたい心理って。
誰しも長い事生きていれば、
そうやって自分を正当化して逃れようとしてきた経験があるかもしれない。
そして…今回は第3章スタートとあって、別々の日常を送るようになった片方の
拓朗(眞栄田郷敦)視点で物語が展開されていった印象が強いのですが、
拓朗からしてみれば、50万円を要求して警察の実態と憶測ばかり語る平川と、
ワインを片手に社会の恐ろしさを語る母・陸子(筒井真理子)は
同じ「そっち側」の人間なんだろうな…とも思います。
今回はそんな、組織の流れに呑まれる事で生まれる人間の”ズルさ”みたいなものが、
複数の登場人物を絡めながら描かれた回だった気がします。
自分は能天気ではないと信じている恵那(長澤まさみ)も
ある意味「そっち側」の人間になりかけている状態で、
自分の意思が…というよりかは、社会が、環境がそうさせてしまっているんですよね。
でも、彼女が完全に能天気な人にはならず、
「甘ったれないで下さい」
「悪いけど、酔っ払いの泣き言を聞いてる暇なんて、私にはもうない」
という強い考えに至らせているのは、
間違いなく村井(岡部たかし)の存在がいるからであって。
職場を離れてもなお、度々登場してきては2人の背中を遠回しに押してくれる
村井の”ガソリン”的キャラには、唯一ホッとさせられるものがあるのです。
マジクソはマジクソでも…50万円に見合う価値は提示してくれた平川のUSBメモリーと
被害者遺族の会を通して、拓朗はどんどん情報を入手していく。
その情報を聞かされた恵那も、あの時会った謎の男が何者だったのかに気づき始める。
人間の心理をメインに描きつつ、冤罪事件も確実に真相へと一歩ずつ近づいていってます。
組織の実態を目の当たりにして、2人は無事に真相を突き止める事が出来るのか?という覚悟と
目に見えない大きな”不安”を、
拓朗の場合は、八頭尾山の風景を画面じゅうに収めながら、
彼がぽつんとその中にいるように対比をとる(引きで撮る)形で。
恵那の場合は、「あの頃から変われた自分」を物語る机に向かって
字を書いている彼女の様子を、徐々にカメラで近づけて撮る形で
表している演出も面白く視聴しました。
本作は真犯人が誰かを謎解きする事をゴールとしている作品ではないので、
本城(永山瑛太)がそのまま真犯人ではあるんでしょうね。
冤罪事件の調査を通しての2人の変化を、本当に地道に描いている作品だと思います。
↓前回の感想はこちら↓
Source: りんころのひとりごと。
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