ここ最近はミステリーには食傷気味になってしまっていた私。
本作も「もしかしたら良さげ…?」と思いつつ、強く期待はしておりませんでした。
と言うのも、犯人候補となる登場人物を露骨に怪しく見せたり、意味深な言葉を並べ立てたり、
思わせぶりなカットの連続だったり、不穏な空気を作るための展開が強引だったり…
次々と生まれていく同系統の作品のほとんどは
やたら不自然さを強調しがちだったので(特に日テレ)、
また”そのパターン”に陥ってしまうのではないか?と不安に感じていたからなんですよね。
しかし、いざ初回を視聴してみたら意外と…いや、かなり面白かったです。
確かに、上記に挙げたような定番は所々押さえてはいるんですけど、
全体的には新感覚ミステリーの印象を受けました。
何より、謎多き連続放火事件の真相に迫っていく物語のはずなのに、
住民たちの優しい人柄やアットホームな雰囲気を前面に押し出してきたのが意外だったのです。
親しみやすいキャラだとイメージづけるからこそ、
逆に奇妙な事件が相次ぐ集落の不気味さが際立つと言うか…。
のどかな田舎町のロケーションも効いているし、
不協和音じみた劇伴のかかるタイミングも抜群で、
不穏と温かみのアンバランスさが妙に癖になる内容でした。
そして、視聴者の多くが言及しているでしょうが、消火活動のシーンでの長回しの演出も
静かな緊迫感を生み出していて良かったですねぇ。
周囲を見回すカメラワークがね…まるで、現実離れした世界を
動揺しながら目の当たりにしていく主人公視点にも思えたんですけど、
実際の主人公はただ画面に映り込んでいるだけだったんです。
それがまた、どことな〜くゾワっとした感覚を覚えまして。
小さい頃の出来事とは言え、太郎(中村倫也)が何も覚えていないっていうのも不思議で、
もしかして催眠術で記憶を操作されている…?
実はカメラマン側も登場人物で、彼が無意識に閉じ込めていた”分身”として描かれたりして?
なんて、考察が苦手ながらもぼんやり想像してしまいました。
キャストもみんな、犯人役を卒なくこなされる(こなされそう)な
方々ばかりなのも興味がそそられます。
というかむしろ…周りの顔圧が強過ぎて、中村倫也さんの元々さっぱりした顔立ちが、
短髪なのも相まって余計にさっぱりして見えるような(笑)
太郎と一対一で関わった人は、彼の前から姿を消す法則でもあるのか…?とすら思える
強烈なラストもミステリーにおいては定番ではあるんですが、
話がどう転がっていくのか探り探りで見てきてからの衝撃展開なので緩急が凄まじく、
純粋に、早く次を見たい気持ちにさせられましたね。
実写化されるのは銀行!買収!ばかりの池井戸作品ではありますが…
そっち方面じゃないお話の方が楽しめるのかもしれません。
そして、昨日は「ばらかもん」が今期1位かも?なんて事を書きましたが、
本作の初回を見て、早速心が揺らいでおりますw
テレ朝のドラマでガッツリ掴まれたのも久しぶりですし、
「今日は〇〇だ♪」と思わず心が弾んでしまうドラマが何作かあるのも久しぶり。
今期は火・水・木曜が充実しそうです。
Source: りんころのひとりごと。
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